校則違反であるバイト中に担任が客として現れて!?甘く強烈な指導に幸せを識る (ページ 2)

私は普通の女子高生だけれど、うちの家系には普通はいらないらしい。

親戚一同それはそれは有名大学を卒業するエリートで、できそこないの私には、居場所がない。

家に帰りたくなくない私の放課後は、校則違反のバイトにあてている。

「きゃめろん☆ちゃん!七番テーブルご指名だよぉー。萌え萌えクリームソーダ、オプションらぶらぶストローだって」

「はぁい、みるふぃ☆お姉さま!」

語尾にハートが乱射される会話。

きわどい衣装に猫耳必須。

それが『ほーむめいど@にゃんにゃん』。

私の悩み抜いて選んだバイト先だ。

理由は、絶対知り合いに遭遇しないこと。

ここでは先輩を「お姉さま」「お兄様」と呼ぶ。

従業員は男も女ももれなく猫耳……そう、猫耳コスプレカフェだけれど、男性スタッフもいる。

ニッチだけれど、わりと自由な感じ。

私はクリームソーダを厨房からうけとると、七番テーブルへ向かう。

「お待たせしました!ご主人さま!きゃめろん☆がクリームソーダをお持ちしたにゃん!」

私は業務用きゃめろん☆スマイルでお客様に跪く。

ここ数日で鍛えた接客術はわりと自信があって……でも、お客様と対面した瞬間、硬直した。

「……どういう経緯でそういう名前になるんだ」

ぶっきらぼうで仏頂面。

担任の蜂須賀先生がそこにいた。

完全にフリーズした私の身体は、バランスを崩してクリームソーダを先生のズボンにぶちまける。

「きゃーっ!ご、ごめんなさい!」

頭が真っ白になった。

先生は間一髪でグラスを掴み、割れなかったけれど、アイスクリームで服がどろどろ。

「今おしぼりを……!い、いえ、こちらへどうぞ!」

私は先生を立たせ、スタッフルームへ向かう。

みるふぃ☆先輩がこちらを心配そうに見ていたけれど「店長はごまかすネ!」とジェスチャーしてくれた。

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