生意気な可愛い後輩、実は溺愛体質のツンデレで甘々執着系でした

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生意気な可愛い後輩、実は溺愛体質のツンデレで甘々執着系でした (ページ 1)

「後輩の、春翔くんです」
カフェへ足を踏み入れた瞬間、向かいに座った友人が、ぱちりと大きく目を見開いた。

「えっ……顔、良すぎません?」

その言葉に、私はカップへ口をつけながら小さく肩を竦める。

「……でしょう?」

 視線の先にいるのは、春翔。二十五歳。大学時代の後輩。ゆるく垂れた双眸は、春先の陽だまりみたいに柔らかく。少し長めの黒髪は、無造作なくせに妙に様になっている。すらりと伸びた体躯に、白い肌。

どこからどう見ても、“守ってあげたくなる美青年”そのものだった。

「女の子みたいで綺麗〜! 本当に可愛い!」

 友人が頬を染めながらそう言うと、春翔は困ったようにふにゃりと笑った。

「え〜、嬉しいっす。」

 ……は?

 私は思わず眉を寄せる。

 普段の彼は、

『また締切ギリじゃん』
『生活終わってる』
『部屋汚すぎ』

 などと平然と言ってのける男だ。
 一見すると愛嬌たっぷりの子犬系男子。
 だが中身はかなりの問題児なのである。

 なのに今。
 ――猫を被るにも程がある。

「え、めちゃくちゃ可愛い〜!」
「……騙されてますよ」

 すかさず口を挟むと、春翔が一瞬だけじろりと私を睨む。しかし次の瞬間には、また愛想の良い笑みに戻っていた。

「そんな褒められると調子乗るんで」

 照れたように笑うその顔に、友人は完全にやられている。
 おい。
 いつもの毒舌はどうした。

 しかも友人だけではない。
 ドリンクを運んできた店員ですら、

「わ……芸能人みたい」
 と目を丸くし、春翔はそれに対しても、
「えへへ、どうもっす」
 などと愛想良く笑ってみせる。

 ――腹が立つ。彼は、いつもこんな感じだ。
 なんだろう、この妙な苛立ちは。

「……春翔、ドリンク取ってきて」
「えー、だる」
「ほら出た」

 友人が吹き出す。
 春翔は面倒臭そうに立ち上がったが、カウンターではまた完璧な笑顔を浮かべている。

「ありがとうございます」
 にこにこ。
 愛想満点。
 本当に腹立たしい。

「あれ、絶対涼花のこと好きだよね」
 不意に友人がそう言った。

「は?」
「だって、涼花にだけ態度違いすぎるもん」
「……ありえない」
 即答する。

 だって彼、本当に塩対応なのだ。
 返信は雑。すぐ人をいじる。

『涼花ってほんと面倒くさ』が口癖。

 この前など、『私と付き合うのはいかが?』
と冗談めかして尋ねたら、『涼花が彼女とか無理ゲー』と返された。
笑って誤魔化したが、普通に傷ついた。

「でもさぁ」
友人がストローをくるくる回しながら笑う。

「好きな子にだけ塩な男子っているよ?」
「いません」
「いるって〜」
「いません」

 そう言い切った、その瞬間だった。

「何盛り上がってんの」
 戻ってきた春翔が、当然みたいに私の隣へ腰を下ろした。

 近い。
「ちょっと、狭いんですけど」
「そっち詰めれば?」
「……は?」

 しかも彼は、当然のように私のドリンクへ口をつける。
「それ、私の」
「知ってる」

 友人がニヤニヤしている。
 やめてほしい。何だかもう、全部腹立たしい。

 結局その後も、春翔は終始“外面完璧モード”だった。
紹介なんてしなければよかったと、じわじわ後悔まで込み上げてきた。

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