脈なしだと思っていた男友達から離れようとしたら、甘く狂いはじめて逃げられない

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脈なしだと思っていた男友達から離れようとしたら、甘く狂いはじめて逃げられない (ページ 1)

私には、大好きな人がいる。幼い頃からずっと隣にいた人。名前を呼ぶたびに、胸の奥がじんわりとあたたかくなる、そんな存在だ。

けど、その距離はずっと曖昧で、近いようで決して届かない場所にある。

――だから私は、今日で終わりにするつもりだった。

「なあ、なんかはる元気なくね?」

いつもより少しやわらかい声。普段は私の前でスマホばかりいじっているくせに、こういうときだけ妙に鋭い。

「んー?そんなことないよ」

笑ってごまかす。でも、自分でも無理があるのはわかっていた。

「最近、ごめんな。連絡返せなくて」

少し低くなった声に、視線を落とす。

「あー、大丈夫だよ。慣れてるし」

軽く言ったつもりだったのに、わずかに棘が混じる。

「……ごめん。落ち着いたから、これからはちゃんと返す」
「別にさ、私、彼女でもないし」

言った瞬間、胸の奥がじわりと痛んだ。

そう、私はただの女友達。それ以上でも、それ以下でもない。

「……でも、申し訳ないって思ってる」
「やめてよ。義務みたい」

少しだけ、空気が重くなる。

今日はもう、取り繕う気力もなかった。

「……もう会わない方がいいのかなって思ってて」

気づけば、言葉がこぼれていた。

「は?」

低く落ちた声に、肩が揺れる。

「だってさ、彼女できたら……私、邪魔じゃん?」

止めようと思ったのに、止まらない。

「私って、奏の何なんだろうって」

沈黙。

そのあと、ゆっくりと落ちてきた言葉。

「大事な存在だよ」

思わず顔を上げる。

「普段は、恥ずかしくて言えないだけ」

まっすぐな視線に、息が詰まる。

……ずるい。

そんな顔で言われたら、終われない。

「はるのこと大事に思ってるし、離れたくない。不安にさせてごめん」

触れられた手が、やけにあたたかい。その温度に、喉の奥がじんと熱くなる。

「……うん」

小さく頷いて、そっと肩に寄りかかる。

「私も、ごめん。寂しかっただけ」

その言葉を口にした瞬間、胸の奥がほどける。

――ちゃんと、考えてくれてたんだ。その事実だけで、涙が滲みそうになる。

そのときだった。

「……もしかしてさ」

ふっと、声の温度が変わる。

「俺のこと、好きだったりする?」

一瞬、空気が止まった。逃げ場がなくなる。

「好き…だよ?」

気づけば、そう口にしていた。

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