親が決めた結婚前夜、ずっと好きだった執事の彼に初めてを全部捧げます

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親が決めた結婚前夜、ずっと好きだった執事の彼に初めてを全部捧げます (ページ 1)

「お前の結婚相手が決まった」

そう父親から告げられた時、アリスに許されたのは「はい」という返事だけだった。

いつかこの日が来ることは分かっていた。
それでも、まだ猶予はあると思っていたのだ。

明日は、その婚約者の元へ出発する日だ。
アリスは部屋で荷物の整理をしていた。

幼い頃からアリスに仕えてきた執事のレオは、最後のベッドメイクを終えて振り返る。

「お待たせしました、アリス様」

そう言って笑うレオに、アリスは思わず涙をこぼした。

「…どうされたんですか」

レオは心配そうに顔を覗き込む。

アリスはずっと、彼に恋をしていた。

今日を最後に、彼とはもう会うこともないだろう。
男の使用人を嫁ぎ先に連れて行くことなど許されないのだから。

「明日、私は結婚するの。初めて会う相手とキスをして、抱かれるの。子供もできるかもしれない」

「…ええ。おめでとうございます」

「本当にそう思ってる?」

レオは返事をしなかった。
辛そうな表情が全てを物語っていた。

アリスは彼に駆け寄り、抱きついた。
今夜を逃せば、もう二度とチャンスはない。

意を決して告げる。

「好きよ、レオ…初めては、あなたがいいの」

時間が止まった。

レオの動きが、文字通り完全に停止していた。呼吸すら忘れたようにアリスを見つめている。

「…今、なんて」

掠れた声。
聞き返しておきながら、答えを聞くのが怖いような顔をしていた。

レオは耳どころか首まで赤く染まっている。
完璧な執事が初めて見せる顔だった。

レオはぐっと奥歯を噛み締めた。

そして震える手でアリスを抱き寄せる。きつく、痛いほどに。
燕尾服のボタンがアリスの肩口に当たる。

「…反則ですよ、そんなの」

肩口に押し当てられたレオの顔が熱い。心臓の音が直接伝わってくるほど激しく打っている。

しばらくして顔を上げると、潤んだ目が真正面からアリスを射抜いた。

「言いましたね。撤回は許しません。——今すぐ僕のものになってください、アリス」

「…ええ、あなたのものにして」

少し強引な言葉にアリスは微笑んだ。

「あなたの熱が欲しい」

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