生意気な可愛い後輩、実は溺愛体質のツンデレで甘々執着系でした (ページ 2)
友人と別れたあと、私は春翔と二人、駅までの道を並んで歩いていた。
夜風は少し冷たく、街灯の光が濡れたアスファルトをぼんやり照らしている。
「私の友達、いい子でしょう?」
「うん」普段のそっけない返事。
さっきまであんなに愛想よかったの。その態度の変化に、胸の奥が小さく痛む。
最初の頃は、私に対してもっと優しかった。今みたいに、いちいち突き放すような言い方なんてしなかったのに。
胸の奥へじわりと滲む寂しさを誤魔化すように、私は口を開いた。
「春翔、随分楽しそうだったね。“可愛い”って散々褒められて」
ぴたり、と彼の足が止まる。
私は思わず振り返った。街灯の下、春翔がじっとこちらを見ている。
「……涼花」低い声。
「もしかして嫉妬した?」
どくり、と心臓が跳ねた。
「してません!」
ほとんど反射で言い返す。
すると春翔は「あ、そっ」とだけ呟き、すっと表情を消した。
そのまま、冷たく歩き出してしまう。
――何、その態度。
胸が、ずきりと痛んだ。
どうして私ばっかり、こんな気持ちになるのだろう。
「……私のこと、嫌いだったりする?」気づけば私は、ぽつりと零していた。
「……は?」
その一言で、春翔の背中が止まる。
しまった。
そう思った時には、もう遅かった。
「ちょ、春翔――」
次の瞬間。ぐいっ、と強く腕を引かれる。
「きゃっ!?」視界がぐらりと揺れた。
どんっ、と背中へ冷たい壁の感触がぶつかる。
「……っ」
息を呑む。目の前には春翔。片腕を壁へつき、もう片方の手で私の手首を掴んだまま、じっとこちらを見下ろしている。
近い。近すぎる。
「は、春翔!?」
「今のどういう意味?」低い声が落ちる。
街灯に照らされた真剣な顔は、綺麗だった。
「だ、だって……私にだけ塩対応だし。嫌われてるのかと……」
「……っ、なわけねーじゃん」
吐き捨てるみたいに言って、春翔がさらに距離を詰める。
心臓がうるさい。彼の指が、そっと私の頬へ触れた。
「不安にさせてごめん」
甘い声だった。
普段のぶっきらぼうな態度とはまるで違う、機嫌を伺うみたいな優しい声音。
思わず顔を逸らすと、春翔が困ったように眉を寄せた。そして私の顔を覗き込むようにして、必死に視線を合わせようとしてきた。
「……ずっと好きだった」
「は?」
「涼花だけ特別なんだよ」
頭が真っ白になった。突然のことすぎて頭の処理がおいつかない。
「だって、いつも冷たいし毒舌だし……全然好きそうじゃないけど……」
「だーっ、だから! 俺、そういうの苦手なんだって。気持ち素直にするの」
苛立ったみたいに言いながら、春翔がぐいっと私を引き寄せる。
そのまま耳元へ唇を寄せ、掠れた声で囁いた。
「……もう、可愛がるの我慢しないから」
*****
「……なんで黙ってんの」
ソファへ腰掛けたまま、春翔が低く言う。
長い睫毛。柔らかそうな黒髪。白い肌。
女の子みたいな顔なのに、今はその目だけが熱っぽい。
「別に……」
照れ隠しにそう返した瞬間、ぐいっと腕を引かれた。
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