友人とナイトプールへ。楽しむはずが、知らない男性に絡まれて、心配した彼氏がかけつけて水中でお仕置きされちゃう私。 (ページ 2)
──心臓が冷たくなる。
偶然なんかじゃない。
きっと、最初からずっと見られていた。
「だ、大丈夫です…!」
必死に腕を引こうとしても、音楽と水しぶきに紛れて、周りは気づかない。
笑い声に掻き消されて、助けを呼ぶことすらできない。
胸がぎゅっと縮まり、頭に浮かぶのはただ一人。
──健二。
「助けて…」心の中で必死にそう叫んでいた。
「っ──!」
次の波が大きく押し寄せて、水しぶきが高く舞い上がった。
視界が一瞬、白く霞んだその瞬間──別の誰かの腕が、ぐっと私の腰を引き寄せた。
「…!」
身体ごと強く抱き込まれて、驚いて顔を上げる。
そこにあったのは──健二の瞳。
濡れた髪越しに私を真っ直ぐ見つめるその目は、いつもの優しさよりもずっと熱く、鋭く揺れていた。
「…美紀」
低く名前を呼ばれただけで、胸が詰まって声が出ない。
さっきまで恐怖で震えていた腕が、彼の胸の中でようやく落ち着きを取り戻す。
「…健二…!」
涙がにじみそうになりながら彼の胸に顔を埋めると、彼の腕の力がさらに強くなった。
「もう大丈夫だ。僕が来た」
耳元で囁かれたその声は、音楽や歓声なんてすべてを消し去ってしまうほど、深く響いた。
──やっと、会えた。
胸の奥に広がった安堵と愛しさで、身体中が熱く震えていた。
彼の腕の中は温かくて、波に揺れる不安も、さっきまでの視線や恐怖も全部吸い取ってくれるみたいだった。
でも──同時に胸の奥でちくんと痛む気持ちもある。
(怒られる…きっと怒ってるよね…)
「…美紀」
耳元に落ちてきた低い声。
その響きだけで、背筋がぞくりと震える。
「僕が来るまで、どれだけ心配したと思う」
吐息がかかって、息が止まりそうになる。
叱られると思っていたのに、その声は優しくて、切なくて──胸の奥がぎゅっとなった。
「…ごめんなさい…」
小さな声で呟いた瞬間、頬に触れた彼の唇が、涙を吸い取るみたいにそっと触れる。
「もう…離さないから」
低く、確かに囁かれた言葉。
水しぶきの音も、音楽も、すべて消えて、私の世界は健二の声と腕の中だけになった。
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