ナンパから助けてくれた刺青のある危険な男に、甘く獣みたいに愛される
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ナンパから助けてくれた刺青のある危険な男に、甘く獣みたいに愛される (ページ 1)
「……っ、いてぇな」
低く掠れた声が、すぐ耳元へ落ちてきた。びくり、と肩が跳ねる。
「す、すみません……!」
慌てて頭を下げる私の腕を、酔っ払いの男が馴れ馴れしく掴んだまま、へらへらと笑う。
「ん? お姉ちゃん、よく見たら可愛いじゃん。おじさんと遊び行こうよ〜」
終電間際の駅前。私は必死に腕を振り払こうとした。
「あ、あの、終電が……!」
「ちょっとくらいいいじゃん〜」
「や、やめてください……!」
酒臭い息が近づく。怖い。最悪だ。
ただでさえ残業終わりで疲れているのに、どうしてこんな目に遭わなければならないのか。
半泣きになりながら身を引いた、その瞬間だった。
「……その手、離せよ」
低く冷えた声。酔っ払いの肩を、後ろからぐいっと掴んだのは、黒いパーカー姿の男だった。
気怠げに伏せられた眼差し。
無造作に流れる黒髪。
首筋から覗く黒い刺青。
街灯の下に浮かび上がるその姿は、どこか人間離れした危うさを纏っていて。
――やば。
思わず、別の意味で身が竦む。
「なんだテメェ……」
酔っ払いが睨み返す。
しかし男は眉一つ動かさなかった。
「聞こえなかった?」
感情のない声が落ちる。
「離せって言ってんだけど」
その瞬間。男の目が、すっと細められた。ただそれだけなのに、空気が凍る。
「っ……」
酔っ払いが舌打ちしながら手を離した。
悪態を吐きつつ去っていく背中を見届けてから、男はようやくこちらを振り返る。
「……大丈夫か?」
思ったよりずっと優しい声だった。
私は呆然と彼を見上げる。
中性的な美しさと、刃物みたいな危険な色気を併せ持つ青年。綺麗。怖いのに、目が離せない。
「あ、はい……ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げると、彼は「別に」とだけ短く返した。そして無造作にポケットから煙草を取り出す。
カチ、と乾いたライターの音。
次の瞬間には、白い煙が夜気へ溶けていた。
――駅前で普通に歩きタバコ。
柄、悪すぎる。
絶対関わっちゃいけないタイプだ。
なのに。煙を吐きながら歩く横顔が、妙に様になっていて。
どくん、と胸が跳ねた。
こんな男、危険だ。
本能がそう警告しているのに、視線だけはどうしても彼を追ってしまっていた。
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