ナンパから助けてくれた刺青のある危険な男に、甘く獣みたいに愛される (ページ 3)
見上げた先。
蓮が、じっとこちらを見下ろしていた。
気怠げで、何を考えているのか分からない男。
だけど、今だけは違った。
獲物を追い詰めた獣みたいな目。
その視線に射抜かれた瞬間、ぞくりと背筋が粟立つ。
恥ずかしさに耐えきれなくなって、私は思わず彼から逃げるように身を翻した。
しかし。
「……逃げんなよ」
低く掠れた声が、耳元へ落ちる。
次の瞬間、ぐい、と強く腕を引かれた。
「きゃっ――」
視界が揺れる。
どん、と背中へ冷たい壁の感触がぶつかった。
逃げ道を塞ぐように、蓮の腕が私のすぐ横へ伸びる。
近い。
煙草と香水が混ざった匂い。
熱を孕んだ吐息。
覆い被さるみたいな大きな身体。
その圧迫感に、息が詰まりそうになる。
「蓮……っ」
掠れた声で名前を呼ぶと、彼が喉の奥で低く笑った。
「お前、かわいすぎ」
その声音には、余裕なんて欠片もない。
まるで本能を剥き出しにした肉食獣に見つめられているみたいで、身体が震えた。
怖い。なのに、逃げられない。むしろ、その熱へ捕まってしまいたいと思ってしまう。
「……っ」
刺青の入った指先が、そっと頬へ触れた。
骨ばった大きな手。
無骨なのに、触れ方だけは驚くほど優しい。
その温度に惹かれるみたいに、私は無意識に彼の掌へ頬を寄せていた。
その瞬間。
蓮の瞳が、ゆっくり細められる。
「……ほんと、可愛い」
耳元へ落ちた低い声に、心臓が嫌になるほど高鳴った。
*****
薄暗い部屋の中。
彼の身体だけが、熱を帯びて浮かび上がって見えた。
黒いインクで刻まれた刺青が、汗ばんだ肌の上で妖しく滲む。
見るからに危険な男。
近づけば傷つく。
本能ではちゃんと分かっているのに。
どうしても、目を逸らせない。
ギシ、とベッドが大きく軋んだ。
次の瞬間、勢いよく覆い被さられる。
「……っ」
柔らかなマットレスへ身体が沈み込み、思わず息を呑んだ。
まるで肉食獣に捕らえられた小動物みたいだ。
圧倒的な体格差。
逃げ場のない距離。
心臓が激しく跳ねる。
「……あ」
熱い舌先が、ゆっくりと胸元を這った。
焦らすみたいに。
獲物を味わうみたいに。
敏感な場所だけを見抜いて、執拗に甘く刺激してくる。
ちゅ、ちゅ……と湿った音が響くたび、頭の奥がじわじわ痺れていった。
身体が勝手に震える。
その反応を愉しむみたいに、彼はゆっくり顔を上げた。
「……ん?」
低い声。
視線が絡む。
暗い熱を孕んだ瞳。
獲物を追い詰めた獣みたいな目。
息が詰まった。
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