ナンパから助けてくれた刺青のある危険な男に、甘く獣みたいに愛される (ページ 2)
「いや、だから……なんで連絡先交換したの、私」
ベッドへ倒れ込みながら、私は頭を抱えた。
脳裏へ浮かぶのは、さっきの男の顔ばかりだった。
スマホ画面には、短いメッセージが表示されている。
『無事帰れた?』
差出人は、“ 蓮”。
絵に描いたような危険人物。
刺青。煙草。歩きタバコ。柄の悪い喋り方。
どう考えても、関わってはいけない男だ。
なのに。
思い出してしまう。
酔っ払いの前へ迷いなく出た背中。
低く響く声。
私の腕を守るみたいに引いた、大きな手。
どくん、と胸が跳ねた。
「あの手に、抱き締められたら……」
そこまで考えて、はっとする。
「……いやいやいや」
何を考えているのだ、私は。
絶対やばい人だ。
本能ではちゃんと分かっている。
けれど、危険だと分かるほど、彼の存在が頭から離れなくなっていく。
そんな自分に戸惑っていると、再びスマホが震えた。
『腹減った』
『今から飯行く?』
短い文面。
愛想なんて欠片もない。
なのに、心臓が妙にうるさい。
少し迷った末、私は小さく息を吐いた。
『行きます』
送信ボタンを押した瞬間、胸の奥がじわりと熱を持つ。
まるで、自分から危険へ足を踏み入れていくみたいだった。
*****
「おっす」
待ち合わせ場所へ着いた瞬間、低い声が飛んできた。
コンビニ前。
蓮はヤンキーみたいな座り方でしゃがみ込み、煙草を咥えたまま片手を上げている。
黒いパーカーに、気怠げな表情。
無造作な黒髪の隙間から覗く刺青。
どう見ても治安が悪い。
なのに、そのラフな格好が妙に似合っていて、胸が変にざわついた。
「名前、美月って呼んでいい?」
「あ、はい……」
道行く人たちが、ちらちらこちらを見ていく。
――絶対、“悪い男に騙されてる女”だと思われてる。
そんなことを考えながら歩いていると、私が何気なく車道側へ寄った瞬間だった。
ぐい、と肩を引かれる。
「危ねぇだろ」
低く落ちた声。
気づけば、私は歩道側へ寄せられていた。
さらに段差へ差しかかると、蓮は当たり前みたいに私の手を引く。
大きな掌。
骨ばった指。
その無骨な優しさに、胸がどきりと鳴った。
守られている。
ただそれだけのことなのに、どうしようもなく心が揺れる。
「……なんか、お前見てると放っとけねぇ」
ぽつりと落ちた声に、胸の奥が熱くなった。
私は誤魔化すように笑う。
「そーいうこと、女の子みんなに言ってるんですか」
「あ?」
蓮がゆっくりこちらを見る。
「お前だけ」
どくり、と心臓が跳ねた。
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