長い片想いに疲れていた私は恋愛経験のないまま… (ページ 5)

「じゃあ、ゆまちゃんが、真っ白である必要ないんじゃない？」

「・・・。」

「彼が、ゆまちゃんよりずっと先に大人になったみたいに、ゆまちゃんだって大人になればいい。」

「・・・。」

悔しい。

悔しいけど・・・胸の奥で固くなってた黒いものが、崩れていく感じがする。

「初めては彼が良いなんて思ってても、思うほど、ホントは苦しいんじゃないの？」

雨宮さんには、すべて見透かされてしまっているのかもしれない。

「・・・。」

「ゆまちゃんにだって、大人になる権利があるんだよ。」

「・・・。」

「大人になってから、彼に向き合ったって、何も罪じゃないって。」

「・・・。」

「俺が、ゆまちゃんを大人にしてあげる。」

震える肩を、ぎゅっと雨宮さんが抱きしめる。

何も言えなかった。

何も言い返せなかった。

ただ、目の前がゆがんで、何も見えなくなった。

答えは一滴に、頬を伝ってしまう。