出張先で重なった想いと唇…上司がこんなに情熱的だったなんて知りませんでした (ページ 2)

「あの…お風呂、お先にいただきました」

「うん、俺も入ろうかな」

まるで付き合い初めのカップルの様なやりとり。

元々好意を持っていたこともあって、同じ部屋ですごすハプニングに、かなりドキドキしてしまう。

その一方で部長は涼しい顔をしていた。

(私だけが意識しちゃってるのかな…)

夕食はホテルに来る前に早めに済ませていたので、あとは寝るだけ。

自分の部屋がちゃんと取れていたならここからお酒を飲みながらゆっくりするのだけど、さすがに部長の前でそんなダラダラした姿は見せられないだろう。

あれこれ考えていると、滝沢部長がお風呂から出てきた。

濡れた髪が色っぽい。

普段見ることのない姿に、私の心臓がうるさかった。

「すまないな、俺と一緒の部屋で。上司と一緒だと気持ちが休まらないだろ」

「そ、そんなことはないです!」

気持ちが休まらないのは、緊張しているからで嫌なわけではない。

むしろ滝沢部長のプライベートな格好を見られてラッキーなくらいだ。

「よかったら、飲まないか」

滝沢部長は冷蔵庫から、缶のお酒を取り出して言った。

「一人で飲むつもりで、何本か買っていたんだ。君が嫌いじゃないなら…」

「お酒、好きです!いただきます」

私が食い気味で返事をすると、滝沢部長はそんなに好きなのか、と笑った。

そして私たちは、お酒と少しのおつまみを持って、窓際に備え付けのテーブルと椅子に異動した。

*****

実は、私はお酒に弱い。

弱いくせに飲んでしまうので、友人からはほどほどにしておきなよ、と叱られることもあった。

だけど部長と2人きりという状況に舞い上がってしまった私は、自分が酒に弱いことも忘れて、ついつい部長に勧められるままにアルコールを摂取していた。

その結果、爆弾発言を連発してしまったのである。

「ぶちょうはすきなひととかいないんですか~?」

「好きな…人?」

「だって部長かっこいいから」

「おいおい、香澄君、酔いすぎだ」

「酔ってませんよ~。で、どうなんですか?彼女はいるんですか?」

滝沢部長は絡んでくる私を、困った顔をして落ち着きなさいとなだめたが、私はそれでも質問を止めなかった。

「どうなんですか!」

「か、彼女は、いない…が、好きな人は、いる」

それを聞いて、酔っぱらいながらも私は心底落ち込んでしまった。

そして心の中の気持ちが、全部口から出てしまう。

「そんなあ…私、滝沢部長のこと好きだったのに…失恋しちゃいました…」

「香澄君?」

「どんな人ですか?私じゃあ敵わない美人ですか?」

酔いに任せて、椅子に座る滝沢部長に迫る。

滝沢部長はお酒の缶をテーブルに置くと、迫る私の肩を掴んだ。

「君は随分酒癖が悪いようだ。私以外にもこうなのか?」

「男のの人の前で飲んで酔ったりしませんよう。でも、部長だから、いいんです」

「…どういう意味?」

部長は、私を真剣な目で見つめている。

ここでようやく、ちょっと酔いが冷めた私は、掴まれた肩の熱さに気が付いた。

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