年下同期と地下倉庫に閉じ込められて…。お互いの体温を求めて激しく抱き合う (ページ 2)

「ご、ごめ…」

「え、あ、遠夜くん…?」

明るさを取り戻したそこに立っていたのは、同期の遠夜くんだった。

同期といっても部署が一緒になったことがないので、こうやって会話をするのはずいぶん久しぶりだった。

「遠夜くんもいたの? だったらなんでさっき声を上げなかったの? 聞こえてたよね、おばちゃんの声」

「大きな声を出すのは苦手で…」

「そんなこと言ってる場合!? 私たち閉じ込められたんですけど!」

大きな声で喚くと、遠夜くんはバツが悪そうな顔をして目を逸らした。

遠夜くんは長すぎる前髪と黒ぶちメガネという、絵に描いたような陰キャだ。

大声どころか、声自体を聞いたことも数えられるくらいしかない。

今はシステム室所属らしいけど、周りと円滑にコミュニケーションが取れているのか心配になるくらいだ。

「…ちなみにだけど遠夜くん、星座は?」

「? おとめ座だけど…」

「最下位ここにいたー!」

絶望を上乗せされて、私はずるずるとその場にしゃがみ込む。

もしかして私は遠夜くんの最下位に巻き込まれただけなのでは、と他責思考になる。

「どの道、誰か来るのを待つしかなさそうね…」

「うん…」

*****

倉庫内にある時計は十九時を指している。けれど、それが合っているかどうかの確証はない。

閉じ込められて、することもなくじっとしている時間は、普段よりもずっと長く感じた。

「あー…、喉が渇いた」

「…ペットボトルの水なら持ってるけど、飲む?」

「本当!? 飲む!」

「僕の飲みかけだけど…」

「全然気にしない!」

私が返事をすると、遠夜くんは一度倉庫の奥の方へ行って、すぐに戻ってきた。

大きな鞄を持って。

「いや鞄持ってるんかい!」

思わず突っ込んでしまう。

「移動の時は鞄を常に持ち歩く主義なんだ」

「もっと早く言って!? じゃあスマホも持ってるんじゃないの?」

「システム室はスマホ持ち込み禁止だから…」

「あー…、情報漏洩対策ね…」

何度目かわからないため息をつく。

渡してくれたペットボトルの水を一口だけ慎重に飲む。いつまでこの状態が続くかわからない中、水は貴重だ。トイレに行きたくなっても困るし。

ふと、遠夜くんの手首に目が行く。

「腕時計もあるし…。今何時?」

「十八時三十分」

やはり倉庫の時計は狂っていたらしい。閉じ込められてからまだ一時間も経っていないことになる。

「早く気づいてよ馬鹿部長…」

コンクリートの床に直接腰をつけるのが嫌で、適当に棚から取り出した古いファイルの束を椅子代わりにしている。

立てた膝に顔を埋めながら部長への呪詛を吐く。

その途中でくしゃみが出た。

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