セクハラ患者から助けてくれた外科医にお礼をしにいったら…当直室で結ばれる恋 (ページ 4)

「今日のこと?」

「患者さんを注意してくれたこと」

先生は「ああ」と言って笑った。

「気にしないで。俺が勝手にやったことだから」

こういう気取らないところも、先生の好きなところだ。

そう思うと、自然と頬が緩んでしまう。

「それに、好きな子があんなことをされてて、黙って見てる方が無理だよ」

一瞬、言われたことの意味が理解できなかった。

空耳だと思った。

聞き間違いだと。

だって、好きな子、だなんて、そんな…。

「信じられないって顔してるね」

その時の自分がどんな顔をしていたかは分からなかったけれど、きっと間の抜けた表情をしていたのだと思う。

そんな私を見て、先生はおかしそうに笑う。

「え、だって…」

「もう一回言わなきゃ分からない?」

唐突に顔を寄せられた。

耳元で「それとも」と囁かれる。

「もっと分かりやすい方がいいかな?こんな時間に恵と当直室で二人っきりになって、もうこの部屋から出したくないって思ってるって」

言い終わると同時に、抱き締められていた。

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