バスの後部座席で繰り出された性欲解消のためだけのセックス。一瞬で絶頂へ達した獣の二人 (ページ 2)

「携帯をここに出していたんですけど…」

「一緒に探します」

「ありがとうございます」

 どこかに落として、転がっていったのかもしれない。バスから降りたほんの数十メートルの間には、確かになかった。

 乗務員も隣、前後の席の下を念入りに確認し始めた。

「あの、電話をかけてもらえませんか?」

「ああ、はい」

 麻紀は乗務員にお願いをし、番号を伝える。乗務員がその番号にかけると、最後部席で携帯がぶるぶると鳴っているのがわかった。

「あった!」

 携帯を見つけ、二人が同時に取り上げようとすると、手が触れあった。

「す、すみません」

 そう言ったのは麻紀だった。

 二人の距離はかなり近い。その一瞬の出来事に不覚にも麻紀はドキッとした。

「ありがとうございました」

 携帯を握りしめお礼を言うと、乗務員はそのまま運転席に戻って行った。

 画面に残った電話番号を消そうかと思ったが、麻紀は何となくそのまま「イケメン運転手」と入力した。

 休憩後、麻紀はすっかり目が覚め、窓の外を眺めながらついさっきの出来事を考えていた。

 ー私の電話番号をゲットしたってことよね?

 ー消してくださいと、目の前で言うべきだった?

 ーでも、私も言われなかったしな…。

 漫画の世界ならここで何か展開が起きるのにと、麻紀はそんな風に思っていたが、乗務員の方は全く気にもとめていない気配だ。

 数時間後、次のサービスエリアに到着し、また全員が外に出た。麻紀も一番最後にバスから降りる。そのとき、なぜか乗務員にじろじろ見られている気がした。

 歩いている後姿までじっとだ。ミニスカートに黒のブーツを履いている麻紀は、思わずきゅっと下半身に力を入れ、お尻のラインを彼が見ていたらいいなと思った。

*****

 予定時刻に京都駅のバスターミナルに到着する。二組の男女が先に降りる。麻紀は後方から最後に降りた、

「ご乗車ありがとうございました」

 乗務員が深々とお辞儀をする。

「先ほどはご迷惑をおかけしました」

 麻紀もお礼を言う。すると、乗務員がぼそっとつぶやいた。

「京都で美味しいラーメン屋知ってる?」

「ラーメン?」

 突然の質問に驚く。

「今から行くんですか?」

「バスを移動させて夜中までフリーだから」

「じゃあ、付き合いますよ」

 麻紀は、思わずそう返事をした自分の積極性が信じられなかった。

「いいの?」

「うん、暇だし」

 乗務員がきょろきょろと周りを気にしながら、麻紀にバスの中へ戻るよう手で合図をした。麻紀は何も疑うこともなくそのまま中へ引き返した。

 いつものバスターミナルの光景。誰も他の人のことなど見ていない。

 麻紀は誰もいないバスに乗り込み、今度は乗務員の隣に座った。乗務員も戻る。バスガイドになったかのように、麻紀は隣にいる乗務員に話しかけた。

「なんて呼んだらいいですか?」

「俺?玲也でいいよ。もう勤務終了だから」

「はい、じゃあ玲也さんで」

 玲也はバスを移動しエンジンを切ると、書類を提出するとかで、麻紀にバスの中で待つように言って外に出た。

「じゃあ、今のうちにラーメン調べておきますね」

「ああ、ありがとう」

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