興味本位で「どんなセックスをするんですか」と聞いたら懇切丁寧に教え込まれた話

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興味本位で「どんなセックスをするんですか」と聞いたら懇切丁寧に教え込まれた話 (ページ 1)

「~~、今度の人とは続くと思ったのに…!」

馴染みの居酒屋の個室。
いわゆるカップルシートのような横並びの席で、やけくそにビールを呷(あお)る。
ドンっと音を立てて机に置かれたジョッキの中身は、もう3分の1も残っていない。
ムーディーなライトに照らされているというのに、この個室の空気は殺伐としていた。
主に私のせいで。

「すみませーん、生中追加でー」

隣の席に座っている会社の先輩、工藤さんが呆れた顔をしつつもお酒を追加してくれる。
毎回フラれるたびに工藤さんに泣きついてお酒を飲みながら愚痴を聞いてもらうのが恒例行事となっているのだが、1ヵ月前に付き合い始めた彼氏に昨日急にフラれた私は、今日も今日とてその『恒例行事』の真っ最中だ。

工藤さんは面倒くさそうな顔をしながらも、なんだかんだ言っていつも付き合ってくれるから、本当に面倒見の良い先輩だと思う。
そんな先輩に甘えて、私は今日もくだを巻いている…というわけだ。

「神尾。お前さあ、いつも同じこと言って早々に別れてるんだから、いい加減学習しろよ」
「だって、普通別れると思って付き合わないじゃないですかー!」
「…で? 今回はなんて言われてフラれたんだ?」
「いつもと同じですよ。…エッチしたら「飽きた」…って」
「…相変わらず男の趣味悪すぎだろ」

そんなに可哀そうなものを見る目で見ないでほしい。
私だってわかってる。
なんでいつも同じような男に惚れて、傷ついてを繰り返してしまうのだろう。

「工藤さん…私って、愛嬌とか可愛げがないですか?」
「…俺に聞くなよ」
「だって、他に聞ける男の人居ないんですもん」

横から、長い長いため息が聞こえる。
面倒くさい…というオーラをビシバシ感じるが、それでも「別に、普通だろ」と答えてくれるから、工藤さんは本当に優しい人だ。

「じゃあ、工藤さんはどういう子が可愛いと思いますか?」
「お前、酔ってるだろ」
「酔わなきゃやってらんないんですよ」
「それぐらいにしとけ。明日後悔するぞ」

そう言って私の目の前のジョッキを水にすり替えようとする工藤さんの手をかい潜って、私は自分のお酒をしっかり確保しながら彼の答えを促す。
酔っ払い上等だ。

「…鈍感。とにかく鈍くて、自分のことに無頓着。空回り気味だけど…いつも一生懸命な子」

言い終わってすぐそっぽを向いてしまった彼の耳は、少し赤くなっていた。
それにしても、工藤さんが『可愛い』と思うタイプが意外すぎる。
いかにも『仕事ができる男』を体現している彼の隣には、美人や芯の強そうな女性が似合うと思っていたのだが、本人は意外と天然好きらしい。

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