興味本位で「どんなセックスをするんですか」と聞いたら懇切丁寧に教え込まれた話 (ページ 2)

「…工藤さん。私が言うのもなんですが、女の趣味変わってますね」
「うるせえ」

照れ隠しか、工藤さんもビールを一気に呷る。
喉仏がゴクリと上下するその横顔は、この個室の装飾も相まってか大人の男の色気を醸し出していて、柄にもなく少しドキドキしてしまう。
私はその色気と酔いに誘われて、ずっと聞いてみたかったことを口に出してみた。

「工藤さんって、どんなセックスするんですか?」
「…は?」

たっぷり5秒の間を取って発された工藤さんの声はいつもの彼らしくなく、面白いくらい抜けていて思わず笑ってしまう。

「神尾、お前いい加減にしとけよ。自分が何言ってるかわかってないだろ」
「わかってますよー。お酒で記憶飛ばしたこともないので、ご心配なく」
「…なんでそんなこと聞くんだ」
「一度聞いてみたかったんですよ。私、いつもセックスしたあとにフラれるじゃないですか。『飽きた』って言われて。一度抱いただけで飽きる私の身体が残念なのかもしれないけれど、毎回そう言われるとやっぱり他の人のセックスが気になるんですよね。…あとは、単純に工藤さんがどうやって女を抱くのか、興味があるだけです」

そう言い終えて、まあさすがに怒られるかな…と思いつつ隣に座っている男を見上げると、思いがけず熱い視線に見下ろされていて一瞬呼吸が止まる。

少し隙間が開いていた個室の扉をピシりと閉めて、おもむろに私の手に大きな手を重ねながら「神尾が聞いたんだ。逃げるなよ」と距離を詰めてくる。
え、教えてくれるんだ。
この状況になっても危機感一つ浮かばない私は、やはりお酒に酔っているのだろう。

「どんな設定がご所望なんだ?」
「…じゃあ、『彼女と初めて過ごす夜』で」

隣からすごく視線を感じる。
重ねられた手が、どんどん熱を帯びていく気がしてならない。

「俺に彼女が居たとして、俺の家で初めて抱くシチュエーションだとしたら…そうだな…。まずそっと腕を引いて抱き寄せる」

飲んでいたビールを吹きだしそうになった。

「え、そこから!? 本番からでいいんですよ!?」
「いいから黙って聞いとけ」
「はあ…」

そんな序盤も序盤から話してくれるとは思いもよらなかったし、『抱き寄せる』って…なんか意外だ。
この先はどうなるんだろうと、私は俄然ワクワクしながら興味津々で工藤さんの話の続きを待つ。

「俺の腕にすっぽり収まる彼女の身体を、力加減しながらしっかり抱きしめて、目の前にあるサラサラした髪に指を滑らせてリラックスさせて…肩の力が抜けてきたなと思ったら、顔を上げさせて触れるだけのキスをする」

話している間、工藤さんはずっと私の指を握りこんだり手を這わせたりしてきて、まるで工藤さんの語るセックスを疑似体験している感覚に陥る。

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