優秀だけど無表情な年下イケメンエリート君が、私の前だけで見せる笑顔で責めてきて……

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優秀だけど無表情な年下イケメンエリート君が、私の前だけで見せる笑顔で責めてきて…… (ページ 1)

「早速仕事を終えてくださったみたいで、ありがとうございます。次の仕事、これをお願いします」

無表情のまま、私を見つめてくる彼――広樹さんはいつも何を考えているかよくわからない。

年は2つ下だが、頭の回転が速く、私の部署をまとめるリーダーである。

これまではエリート集団の海外営業事業部にいたみたいなんだけど、ウチの部署の売上が悪いから、立て直しも含めてリーダー、つまり上司という形で配属されたみたいよ〜、とお局様が言っていたのを思い出す。

広樹さんが来てから約3ヶ月で、作業効率が上がり、売上もよくなった。

前よりも働きやすくなり、部署の雰囲気もよくなったけど――そういえば、広樹さんは一度も表情を変えたことが無い気がする。

広樹さんはどんなときに笑うんだろう。

*****

ある日の夕方、突然広樹さんに呼ばれた。

「この後、お時間空いていますか」

突然のお誘いに一瞬、どきりとした。

「急ではありますが、今日の夜、私の仕事を手伝っていただけませんか。先方との調整の関係で、もしかしたらかなり夜遅くなるかもしれません。他の方はすでに予定が入っているとのことで、貴方だけが頼りなのです」

少しだけ何かあるのかと期待してしまったが、いつもと変わらない広樹さんだった。

「あ、えーと……空いています」

今日は金曜日だが、他の社員のように彼氏や友達、家族との用事があるわけではない。

自分の寂しさを感じながら仕事を引き受けることにした。

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

その後黙々と仕事を進めたが、仕事自体は広樹さんが上手く指示してくれたおかげで、困ることはなくスムーズに進められた。

ただ、量が多かったため、すべての作業が終わった時にはもう11時を過ぎていた。

オフィスには広樹さんとわたしの2人だけ。

「おかげで助かりました。本当にありがとうございました」

デスクで支度をしていた私に、広樹さんが声をかけてくれた。

「わかりやすく指示をだしてくださったおかげでできました。ちょっと楽しかったです」

短い時間だったけれど、広樹さんと2人きりで仕事ができたことも嬉しかったのは嘘ではない。

「笑顔、可愛いですね」

「え?」

突然の一言に思わずキョトンとしてしまった。

「ねぇ、美玖さん…」

広樹さんは突然私を椅子に座らせ、後ろからぎゅっと抱き寄せた。

「俺、美玖さんのこと、好きです」

何を言われているのかよくわからないまま、私は気がつくと頭を撫でられていた。

「やっとこうやって、2人だけの時間を過ごして、想いを伝えられるの、嬉しいです……」

いつもの仕事の時の声音と全然違う、私しか知らない広樹くんが想いを伝えてくれている。

「美玖さん、さりげなく年上の色気出してきちゃうから、仕事に集中できなくなりそうで……周りにバレないようにするの、大変だったんですよ」

「そんなに、ずっと私のことばかり考えていたってこと?」

「……はい。どうしたら美玖さんが俺のこと意識してくれるかなって」

広樹さんは少し困ったように、私に微笑んだ。

いつもは無表情な広樹さんの顔がほぐれたのを見て、つい嬉しくなってしまう。

「そんな笑顔で言われると、なんだか恥ずかしい」

突然告白され、自分の顔が熱くなっているのがわかる。

「俺の方が恥ずかしいんですからね。今日、2人きりになってドキドキしていたの、我慢するの大変だったんですからっ」

頬を膨らませながらちょっと恥ずかしそうに言う広樹さんの可愛らしさは、やはり歳下ならではだと感じた。

「え…そんな、こと」

「真面目だし。丁寧な仕事に全部出てる。それに……可愛い」

そう言って広樹さんは、私の唇にそっとキスを落とした。

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