雨降る爛れたクラブ帰りに声をかけてきた男に公園の奥で…七夕がもたらした夢と愛 (ページ 2)

「うわ、本当に雨…最悪…」

男達との爛れた遊びを終え、地下からの階段を上がって店の外に出る。

荒々しく食い尽くされた気怠い身体に拍車をかけるように、鬱陶しい小雨がぱらついていた。

一時の享楽に身を任せて少しは満たされたように思えたけれど、私の心はこの曇り空のようにどんよりと重たい。

逆にぽっかりと穴が空いた心の渇きは、この雨にさえ潤される事はない。

私は持っていた鞄を心許ない傘替わりに雑居ビルの群れを駆け抜け、小さな公園を横切ろうとした。

「…っ!?きゃっ!!」

雨で濡れた土の上で滑り、私は派手に転んだ。

鞄の中身が散らばる。

…拾い集めなきゃ…でもこんなもの…

手元に落ちた1枚をぐしゃっと握り潰し座り込んだままでいると、ふと人影が落ちた。

「これ、君のでしょ?」

何枚か拾いながら、男の人が私の目線の高さに合わせてかがむ。

「君、デザイナーさん?」

「か、返してよ!」

ひったくるように奪い取り、背後に隠した。

「ただでさえ雨で濡れちゃってるのに、そんなにぐちゃぐちゃにしちゃうなんてもったいないよ」

「こんなの大した事ないって…幼稚園児だって描けるって…」

バイザーの言葉を思い出し、また胸が痛む。

自分の夢を否定された気がして…何もかもどうでもよくなって…

「そうかなぁ、僕は素敵だと思うよ。千夏ちゃんのデッサン画」

「何で名前…」

その人は微笑みながら、デッサン画に書かれた私のサインをトントンと示す。

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