失恋で傷ついた心ごと大切に優しく癒やしてくれるセラピスト (ページ 6)

そのことを思って一人にやけていると、章彦さんの煙草に火がついた。

途端に胸がドキドキする。

この1本を吸い終われば、お決まりのセリフが待っているのだ。

「こっち、おいで。」

ほらね。

その言葉に誘われて、ベットに腰掛ける。

章彦さんの温かい手が私の肩をほぐしていく。

「お客さん、こってますねぇー」

「章彦さんはマッサージがうまいねぇー」

「プロだからね。」

章彦さんの職業はセラピスト。

会ってはこうして、いつもマッサージをしてもらう。

だけど、章彦さんのマッサージはお店のものとはちょっと違うのだ。

「それに、佐江ちゃんは特別なお客さんだから」

ふぅっと耳に吐息がかけられる。

「いっぱい気持ちよくなってもらわなきゃ…」

ちゅっ。

首元に優しいキスが落とされる。

つぅ…。

舌が首筋を撫でていく。

「あぁ…」

思わず漏れた自分の甘い声に、私のほおはたちまち紅く染まった。

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