窓からやってきた夫が匿ってくれと言って隠れたのはドレススカートの中で―!? (ページ 7)

何事もなかったかのように、扉越しに返事をする。

執事曰く、旦那様が窓からこの部屋に入る姿を見た者がいる。

ご存じありませんか、ということだった。

心臓が跳ねたけれど、見間違いではないですか、と返しておいた。

扉の向こうの気配が遠くなる。

なんだか熱も落ち着いて、冷静になってしまった。

名残惜しくはあるけれど、仕方がない。

まだ続きをする気満々なご様子の旦那様に、向き直った。

「旦那様、お仕事に戻って下さい」

「え?」

「いつまでもここにいてはなりません」

「ええ!?じゃあなに、俺は寸止め!?」

「皆さんに迷惑が掛かりますよ」

肩に顔を埋めて、旦那様は「マリアお願い、続きさせて」と駄々をこねる。

「続きは、また今夜にしましょう」

またドレスの下でうずき始めた熱をごまかすように、そう告げた。

ねえ旦那様。

私だって、ずっと二人でいたい気持ちは、同じなんですよ。

また今夜、心待ちにしていますから、ね?

-FIN-

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