喫茶店のイケオジマスターが、大人のテクニックで性の悦びを私の体へ植え付ける (ページ 2)

 誠一郎の車に乗り込む。車内には無駄な物はなく綺麗だ。甘いムスクの芳香剤が誠一郎にぴったりだと思った。

「マスター、よくドライブ行くの?」

「たまに、かな」

「一人で?女の人誘ったりするの?」

「一人だよ、そんな女性はいないから」

「そうなの?マスターは絶対にモテててると思ってた」

「美優ちゃんもモテるだろ?」

 笑いながら誠一郎が返す。

「全然だよ。仕事だけのOL生活だよ。そろそろ恋愛しないとマズイかも」

「そうなの?マズイんだ」

 他愛のない話をしながら、誠一郎は車を三十分ほど走らせショッピングモールに到着した。土曜日の夜だからか、まだ多くの買い物客がいる。

 二人で並んで歩くことは、美優にとって新鮮だった。誠一郎との身長差はニ十センチほど。誠一郎は美優が話すと顔を近づけて聞いている。誠一郎はとても四十代には見えないから、美優と歩いていても親子には見えない。

 きっと二人は年の差カップルに見えるかもしれないなと思った。

 でも、それは美優が誠一郎を意識するきっかけになったのかもしれない。エスカレーターでさっと腰に手を添える仕草も、歩くスピードを合わせてくれるところも、そして話題が豊富なところも、美優が嫌な気分になることが何一つないのだ。

 そんな誠一郎に誕生日プレゼントをおねだりするのは気が引けたが、甘えた方がいい気もして、美優は思い切って欲しかったブランドのルームウェアを選んだ。

「部屋でくつろぐときに着たいから」

「可愛いね、美優ちゃんに似合いそうだよ」
 
 会計を済ませ、誠一郎が美優の手から紙袋を受け取ろうとすると、一瞬手が触れあった。柔らかくて温かい手に美優はドキッとしてしまった。

「何か食べて帰ろうか」

「う、うん」

 美優だけが動揺しているのだと思うと恥ずかしくなる。誠一郎は大人だから、手が触れあったくらいでは何とも思わないのだろう。

 久しぶりに男性と二人で過ごす時間に浮かれているのだろうか。美優は、そんなことを考えている自分にも驚いたが、少しずつ誠一郎の魅力にハマっていることは隠せなかった。

 マスターという存在が、確実に、一人の年上の男性に変わり始めていたのだ。

 食事は誠一郎が好きだという、カジュアルなイタリアンレストランへ行った。

「美優ちゃん、ワインは飲めるの?」

「うん、割と好きかも」

「大人だな」

 誠一郎は嬉しそうに美優を見ている。自分は運転があるからとアルコールは注文せず、美優だけがワインを頼むことになった。

「お誕生日おめでとう」

「ありがとう!」

 美優は、本当にデートをしている気分になっていた。今までこれほど年齢差のある男性と出かけることはなかったけれど、とにかく居心地がいい。

 何をしても、何を言っても、包み込んでくれるのが大人の魅力なのだろう。そして、時々感じる甘い視線にも、美優は下半身をきゅっと疼かせていた。

 ワインが入ると、それは顕著だった。

 誠一郎が食事をしているだけなのに、薄い唇、手入れされた指先、反らすことのできない視線にどんどん惹きつけられていく。

「大丈夫?美優ちゃん、顔が赤くなるタイプなの?」

「大丈夫、久しぶりのワインだからかも…」

「そうだったらいいけど、無理しちゃだめだよ」

「うん」

 誠一郎は特定の女性がいないと言っていた。四十代の男性の性欲事情が美優にはわからないけれど、大人のセックスには興味がある。というより、誠一郎がどんなふうに女性を愛するのか、気になって仕方がない。

 誠一郎にとって、美優は性の対象にはならないのだろうか。大人には大人のセックスがあって、美優はその土俵にも立てないのだろうか。

「行こうか」

 食事とお喋りを楽しみ、誠一郎の車に乗り込んだ。

「美優ちゃん」

「なに?」

 誠一郎が美優をぐっと引き寄せ、唇を重ねた。

「うっ…」

 全身の力が抜け落ちるような、決して荒々しくないのに強引なキスは、まさに大人のキス。驚きはしたけれど、もっとしたくなるほどの威力がある。

「俺に抱かれてもいい?」

「…うん」

 こくんと頷く美優の頭を、誠一郎がポンポンと軽く叩いた。

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