ほんの小さなハプニングが私を振り回す!?キスから始まる大人の関係

キャラクター設定

登場人物をお好きな名前に変更できます。

milkyに掲載の小説は当サイトが契約した作家によるオリジナル作品であり、著作権は当サイトにて保持しています。無断転載、二次利用は固く禁じます。不正な利用が確認された場合、法的措置を取らせていただきます。

ほんの小さなハプニングが私を振り回す!?キスから始まる大人の関係 (ページ 1)

それはハプニングだった。

資料室でキャビネットの上にあるファイルを取るために、朱理が椅子を脚立代わりにしようとした時、

「あっ…!」

椅子が傾き、落ちそうになった。

(やばい!落ちる…!)

思わず目をつぶった朱理だったが、想像していた衝撃はこない。

代わりに感じたのは、唇にやわらかい感触。

「…え…?」

何が起こったのか一瞬わからなかったが、自分の状況を見て朱理は血相を変えた。

「す、すみません!大丈夫ですか!?」

朱理は、近くで同じくファイルを探していた達也を下敷きにしていた。

「…危なっかしいな」

「あ!すみません!お怪我は…」

「そんなにやわじゃねえよ。お前こそ大丈夫か?」

「はい…大丈夫です…」

口調はぶっきらぼうなのに、かけてくれる言葉は優しかった。

「届かないなら届かないって言えよ」

「う…すみません…」

「さっきから謝ってばっかだな」

「…すみません…」

「…」

達也があきれたようにため息をつく。

だが朱理は、達也のそんな様子に気づく余裕はなかった。

(先輩を下敷きにするなんて…それに…もしかしてキスしちゃった!?)

先程の唇に触れたやわらかい感触。

(達也さんは気づいてないかもだし…いや、でも…謝った方がいいかな…)

ぐるぐると思考が回る中、達也がニヤリと笑っていった。

「まさか、キスしてくるとはな」

「え!?」

思わず声が裏返る朱理。

「あ…その…すみません…!」

「だから謝り過ぎだ」

「でも…!」

「…別に嫌じゃなかったし」

「え…?」

聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟いた達也の声は朱理には聞こえなかった。

達也はそのままひらひらと手を振りながら、

「気をつけろよ」

と言って資料室を出ていった。

*****

とある金曜日、朱理は仕事に追われ、オフィスで残業していた。

(はあ…全然終わらないし…それに…集中できない…)

集中できない原因は、目の前のデスクにいる達也。

先日の資料室での一件から、達也が朱理にちょこちょこと話しかけたり、からかったりするようになっていたのだ。

(なんなの?そりゃあ私が悪かったけどさ…なんか…)

話しかけてくるのは二人きりの時だけで、認めたくはないが、達也はまるで好きな女の子にちょっかいをかける男の子のような感じでからかってくる。

(私が意識しすぎ?ダメダメ…早く終わらせて帰ろう)

なんとか仕事に集中しようとした時、達也が立ち上がった。

「コーヒーいるか?」

「え…」

達也がコーヒーサーバーの方へ向かい、カップを2つ手に取る。

「全然集中できてないだろ?気分転換しようぜ」

「あ…ありがとうございます」

コーヒーを入れたカップを朱理のデスクに置いたかと思うと、達也は近くの椅子を引き、朱理の隣に座った。

「な、なんですか!?」

「…お前、本当に面白いよな」

「何がですか!?」

「俺のこと意識しすぎだろ」

達也は楽しくて仕方がないといった表情で笑う。

「そんなこと…」

「へえ…じゃあ意識させてやるよ」

コメント (0)

表示されている文字を入力してください: