妹のような存在の私を本能のまま抱く兄の友人。まるで禁断の世界のようで興奮が止まらない。

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妹のような存在の私を本能のまま抱く兄の友人。まるで禁断の世界のようで興奮が止まらない。 (ページ 1)

杏奈には五つ上の兄がいる。年が離れていることもあり喧嘩をすることもほとんどなく、杏奈のわがままにも付き合ってくれる典型的な妹想いの兄。

 兄は学生のころから水泳部で活躍し、勉強もできることもありモテていた。
 
 そんな兄の親友が、近所の渉だ。クラブも同じ、成績も同じぐらいで、兄とはいいライバルでもあり親友でもあった。

 渉は二人兄弟の弟。だからか、杏奈のことを実の妹のように可愛がってくれていた。

 杏奈にとっても、渉はもう一人のお兄ちゃん。家族ぐるみで仲もよく、今でもお互いの家も行き来するほどの関係だ。

 高校生になると、杏奈の塾と渉のバイトの終わる時間が同じこともあり、両親の頼みもあって週に三回は二人で一緒に帰宅するようになっていた。

「待ったか?」

「ううん、大丈夫。ねえ渉くん、お兄ちゃんに新しい彼女が出来たの知ってる?」

「うん、聞いた」

「高校生だって。私と一緒じゃん」

「それがなんか関係あるか?」

「ないけどさ、妹がいたら年下はなんか違うんじゃないの?」

「そんなの関係ないだろ、女は女だし」

「えー、渉くんは高校生と付き合える?」

「そうだな、杏奈だったらいいよ」

「もう、冗談ばっかり。私は妹みたいなもんでしょ」

 こんな二人の会話は日常だったこともあり、杏奈は特に気にしたこともなかった。いつもの会話と、いつものように杏奈の歩くスピードに合わせる渉。

 その時だった。

「あー、渉くん!お疲れ様」

 横断歩道で信号を待っていると、渉に手を振って話しかけてきた女性がいた。

「バイト帰り?デートなの?彼女可愛いね」

 杏奈は軽く会釈をし、二人の会話を聞いていた。大学生の二人が眩しく大人に見える。渉が女性と親しく話す姿を長い間見たことがない杏奈は、まじまじとその横顔を見つめていた。

 兄よりも落ち着いている渉だが、女性と話すときは柔らかな雰囲気になるようだ。そういえば、杏奈は中学生のときに渉が女子と帰宅している姿を隠れて見ていたことがあった。

 嫉妬というよりは、なぜか声をかけてはいけない気がしたのを覚えている。

「じゃあまたね」

「おう、お疲れ!」

 女性が立ち去ると、渉はふっと息を吐き杏奈を見る。その表情はいつもの兄役の顔ではなく、年上の男の顔だと思った。

「なんだよ」

「渉くんがモテるってこと思い出してた」

「何を言ってんだよ」

「私のこと、彼女に見えるわけないのにね」

「見えるかもよ。杏奈は落ち着いていて大人っぽく見えるしさ、なんていうか俺たちの距離感はわりと近いし」

「そうかな」

「嫌なの?」

「そんなんじゃんくて、渉くんの彼女とか今まで会ったことないなと思って」

「いらないよ、杏奈といれば楽しいし」

「もーっ」

 いつも側にいてくれる大好きな自分の味方。もう一人の兄。その渉の存在は、杏奈にとってかけがえのないものだった。

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