ドMなサキュバスちゃんは、イケメンな人間サマに飼われることになりました

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ドMなサキュバスちゃんは、イケメンな人間サマに飼われることになりました (ページ 1)

いつもの使い慣れた電車の中、心地よいその揺れに合わせて、甘い吐息を漏らす。

「はぁ…はあぁ…」

「だめだよリリィちゃん、声はガマンしてね…」

背後にぴったりと身体を寄せた男の指が前から伸びて、下着の上からクリトリスを撫でる。

そろりそろりと愛撫される感覚も、嫌いなわけではないけれど…
刺激の物足りなさに頭の中は比較的冷静で、サキュバスのリリィは心ここにあらずだった。

*****

女性の姿をした淫魔、サキュバスがこの世界にまぎれ込んで生活している現代。
彼女らは、人間の男の精を糧にして生きていた。

そのほとんどは人間の女性に姿を変え、その美貌と手練手管を駆使し、男を手ごめにしては楽しんでいたのだが…リリィの場合は、少し違った。

(はあぁ…もっと強引に、お構いなしに…わたしのことを可愛がってくれるヒトはいないのかなぁ…)

大抵のサキュバスは自分が優位に立ち、主導権を握って相手の男を骨抜きにしたがった。
しかし彼女は、この世界に存在する「多くの女性が悦ぶであろう、Sな男性とのセックス」に感化され過ぎてしまっていた。

故に、今日マッチングアプリで会ってはみたものの「ぬるい」痴漢ごっこをするこの男に対する興味は薄れ、すでに現実逃避を始めていたのだった。

(もう…イッたフリして、適当に逃げちゃおうかなぁ…)

サキュバスらしからぬ決意をした時だった。

「何してんの、オッサン」

背後で別の男の声がして振り返ると、そこには、自分を触っていた男の手首を締め上げている、もうひとりの男の姿があった。

相手の男は「いてて」と情けない悲鳴を上げ、身を捩って逃げようとする。
しかし自分より背の高い、目つきの鋭い男に力でねじ伏せられ、それもかないそうにない。

リリィがポカンとしていると、その視線に気づいた男が「やっぱりな」と呟いた。
そして、リリィに向かって意地悪そうに笑う。

「イイもんみっけ…まぁ、また後で」
「え…?」
「こっちが優先。駅員のとこ連れてく。あんたもついて来い」
相手の男をあごで示し、リリィに促す。

「ごっこ」とはいえ、第三者から見れば立派な事案だろう。
リリィは、渋々と後をついていった。

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