憧れの上司に一夜の相手を願い出ると、逆に快楽を植えつけられて逃げられなくなりました (ページ 4)

深いため息を吐かれてしまった。
言われている意味がわからなくておろおろと視線を彷徨わせていると、ふいに私の後頭部を包まれ、次の瞬間には啄むようなキスを送られる。

「俺は…いくら頼まれて据え膳的な状況になったからといって、好きでもない女は抱かない」
「…?」
「…どこまで鈍いんだよ。…佐藤が好きだから抱いた。だから、もう二度とあんなこと言うな」

結構傷ついたんだぞと、少しむくれている上司の顔をポカンと眺める。

昨夜、私は「付き合ってほしいなんておこがましいことは言いません、一度だけでいいから抱いてください。そうしてもらえたら、もう忘れるから。いい部下に戻るから」と言って目を見開いている彼に懇願した。
その際、一瞬たしかに傷ついたような目を見た気がするが、すぐに唇を塞がれたので、なぜそんな目をしたのかという疑問は頭から消えてしまっていたのだ。

「え…内海さんが、…私を?」
「なんだよ、信じられないか? 昨日、散々身体に教え込んだつもりだったんだがな。…わからないなら、もう一度思い知るか?」

シーツの中で、私の太ももからお尻へと不埒に動き出す内海さんの手に、私は慌てて首を振る。
そんな私の様子を面白そうに観察していた内海さんは、優しく顎を攫うと目線を合わせてはっきりこう言った。

「じっくり仲を深めようと思っていたが、こうなった以上もう手放してやれないからな。覚悟しろよ」
「内海さん…私、恋人として内海さんの隣にいてもいいんですか?」
「むしろそうじゃないと困る。言っただろ、後悔するなよって」

抱かれる前に言われた言葉が、まさかこんな意味だったなんて。
あまりに自分に都合の良すぎる展開に、まさか夢ではと思えさえするが、私の頬を包む彼の手のぬくもりも唇に感じる熱さも本物で。
私は昨夜とは違う、あたたかい涙を流した。

-FIN-

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