失恋で号泣していたら、いつも紳士なイケメンバーテンダーにいきなりキスされて…

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失恋で号泣していたら、いつも紳士なイケメンバーテンダーにいきなりキスされて… (ページ 1)

「うっ、ひっく…」

私は行きつけのバーで号泣していた。

仕事で予期せぬ残業となり、疲れ切って帰っていると…

彼氏が知らない女の子と、人目もはばからず路上でキスしているのを見てしまったのだ。

3年近くも付き合ったのに、あっけなく失恋してしまった。

私は何も考えられず、フラフラとバーに入り2時間近く1人で飲み続けていた。

閉店時間近くになると、お客さんは私だけになっていた。

マスターの賢一さんが様子のおかしい私に気づいて話しかけてくれて、その瞬間にこらえていた涙が溢れ出してしまった。

賢一さんは黙って温かいおしぼりと水を持ってきてくれ、静かに話を聞いてくれた。

*****

「…っていうことがありまして、すみません。こんな、泣いちゃって…」

ひとしきり泣いて落ち着いた私に賢一さんは優しく笑いかける。

「少しはスッキリしましたか?それにしても本当にひどい男ですね…」

「はは…確かに最近そっけないなーって思っていたんですけど、まさか浮気してたなんて…」

付き合っている間、何度か彼氏とも一緒に来たことがあるので、賢一さんは珍しく怒りを帯びた表情をしていた。

「千秋さん、明日は何かご予定はありますか?もしよろしければ…もうお店閉めるので一緒にもう少し飲みませんか?」

「特に何も予定ないですけど…いいんですか?」

「はい。あ、もちろん僕がごちそうしますよ!」

にっこり笑いかけられて、私もつられて笑顔になり厚意に甘えることにした。

「何回も来ていただいてるのに、こうやって一緒に飲むのは初めてですよね」

賢一さんは私がリクエストしたカクテルを、華麗にシェイカーを振って作ってくれている。

長身に端正な顔立ちで、以前から私はかっこいいなあと密かに憧れを抱いていた。

「そんなに見つめられると照れちゃいますね」

「えっ!?ご、ごめんなさい!ジロジロ見すぎちゃってましたっ」

つい見惚れていたのを気付かれていて、私は恥ずかしさで挙動不審になる。

そんな私を見て、彼はフッと微笑して完成したお酒を差し出してきた。

「どうぞ召し上がれ。…隣、失礼してもよろしいですか?」

「あッありがとうございます!もちろんです!」

彼は手早く自分の分のお酒を作ると、颯爽とカウンター席に来て私の隣に座った。

フワッとかすかに香水のようないい香りが漂ってきてドキッとした。

「じゃあ乾杯しましょうか。千秋さんの明るい未来に」

「あはは!ありがとうございます、かんぱーい」

私は予期せぬ展開に内心ドキドキしながらお酒をあおった。

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