カフェで隣り合わせになった男性へコーヒーをこぼしてしまった私。お詫びに男性の個人事務所に行くと・・・

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カフェで隣り合わせになった男性へコーヒーをこぼしてしまった私。お詫びに男性の個人事務所に行くと・・・ (ページ 1)

18時の時刻を知らせる鐘が外から聞こえてきて、私は席を立ちあがろうとした。

そろそろ帰って、夕飯の支度をしなければならない・・・

外はまだまだ明るいけど、そろそろ子どもも帰ってくる。

そして、立ち上がった瞬間、うっかり飲みかけのアイスコーヒーのグラスを倒してしまった。

はっと気が付くと、こぼれたコーヒーが隣の人の書類を汚してしまっている。

『す、、、すみません』

慌てて拭くものをショップのカウンターから借りてきて、テーブルを拭きながら謝った。

『本当に申し訳ございません・・・書類・・・・汚してしまって、どうしよう・・・』

アタフタしながら、とにかく平謝りで頭を下げる。

『あぁ、、大丈夫ですよ。事務所に戻れば、いくらでもプリントアウトできますし、気になさらないでください』

男性は、怒る様子もなく、私のそそっかしい失敗に対して穏やかに言う。

でも、よく見ると、男性のスラックスにもコーヒーがこぼれ汚れてしまっている。

『あ、ズボンにも・・・!』

慌ててハンカチを鞄の中から取り出した。

男性は笑いながら、

『大丈夫です!そろそろクリーニングに出さなくちゃと思っていたズボンなので・・・』

と言ってくれた。

どうにも気持ちが収まらず、弁償・・・と思い、お財布を取り出す。

男性はそれを制して、名刺を差し出し、

『じゃぁ、どうしても気が済まなかったら、明日の15時以降でよければ、事務所にいらしてくださいね』

と言ってくれた。

私は深々と頭を下げ、明日お伺いする約束をして、お店を後にした。

男性は、たぶん50代半ば過ぎだろうか・・・

白髪交じりの髪の毛はまだまだ豊かで、ラフなスーツを着こなし、おしゃれで紳士的な雰囲気のある人だった。

名刺の住所を見ると、この近くのようだ。

帰り道頂いた名刺を見て、場所を調べて明日お伺いしようと思った。

翌日、約束が15時以降・・・ということだったので、15時半くらいに着くように家を出る。

途中、お菓子屋さんへお詫びの品を買い向かった。

事務所・・・と言っていたけど、ワンルームマンションのようだ。

インターフォンを鳴らし、昨日のことを伝えると、ドアを解除してくれ中に入ることができた。

ドアには、会社名が書かれたプレートが貼られている。

空けてくれたのは、昨日の紳士だった。

『昨日は申し訳ございませんでした。。。』

頭を下げた。

『あはは・・・こうしてわざわざ足を運んでくれて、こちらが恐縮ですよ』

にこやかに笑った笑顔に救われた。

『外暑かったでしょう?良かったら、ちょっと中へ入りませんか?』

外は蝉が鳴き、うだるような暑さ。玄関に入った瞬間ヒンヤリする感覚にほっとする。

そして、一瞬にして、汗が引いていく感覚を覚えた。

『でも・・・お仕事中申し訳ないですから、ここで失礼します』

と言い、持ってきたお菓子を渡そうとした。

『事務所は僕一人ですから。丁度休憩しようと思っていたところです』

そういうと、どうぞと促し、私を中に招き入れた。

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