「意地悪されたくて、猫の飴を買ってるんでしょうが」年に一度、夏祭りにだけ手に入る欲しいもの (ページ 2)

そのまま目抜き通りから外れて、近くの公園を目指す。

花火が見えるジャングルジムには、人がたくさん。

でも、わたしが行く場所はそこじゃない。

人影のないアスレチックのさらに奥。

変なオブジェの陰。

そこで、さっき作ってもらった飴を食べる。

食べ終わる頃には…

「千星さん」

利人さんが来てくれる。

「利人さんっ…」

わたしは我慢できず逞しい体に抱きついた。

「こんなこと、もうしちゃいけないと言ったでしょう」

抱きしめてくれない腕がもどかしく、わたしは利人さんのシャツに手を伸ばす。

ひとつ、ふたつと釦を外していると、大きな手のひらに頬を包まれた。

「男の服を脱がすなんて、はしたない」

「だって…利人さんが欲しいんだもん…」

素直な気持ちを告げた唇に、利人さんの少し薄い唇が重なる。

「んんっ…ぁ…」

優しくも深いキス。

全身にじんわりと快感が広がった。

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