あなたにとって友達でも。恋心は燃えがったらもう止まらない!甘くて意地悪な夜の始まり!

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あなたにとって友達でも。恋心は燃えがったらもう止まらない!甘くて意地悪な夜の始まり! (ページ 1)

「そっかぁ。今日もお仕事お疲れ様」

「おぅ、お前も無理すんなよ」

夜22時。

春香は正也と何気ない電話をしていた。

毎日のように、こんなやり取りをしている。

2人が出会ったのは高校に入学した時。

校内で化学室がわからずに迷っていた春香を、正也が案内してくれたことが出会いだった。

今の2人はもう社会人だ。

春香は地元で就職したが、正也が遠方で就職したため、会えるタイミングが今はほとんどなくなっている。

「なんでそんなに遠くにいるのよ。疲れた!ご飯食べに連れて行って」

これは春香のいつもの甘えである。

何を言っても許してくれる正也の優しさに甘えて、不可能とわかりつつわがままを言うのだ。

「そうしてやれたらいいんだけどな。俺の方はまだまだ長期休みが取れそうにないよ。そういうお前は有給使えるんじゃないの?」

春香はドキッとした。

確かに有給を使えば行けなくはない。

ドキッとしたのは他に理由がある。

いつだっただろうか。

最近のことだ。

電話だけではなく、気が向いたときはたまにビデオ通話で話すことがある。

その日、正也は運転中で、こちらを一切向かずに運転している正也の首筋あたりが映っていた。

何も感じない。

いつも通りのはずだった。

車をバックしようと正也の首筋がグイっとのけぞった瞬間、春香は気付いた。

あの首筋に吸い付きたい、かじりつきたい。

頭をうずめてしまいたい、という気持ちが急に生まれたのだ。

最近の春香は仕事の人間関係で悩んでおり、毎日悩み続けていた。

その話を正也は嫌な顔ひとつせず毎日電話越しに聞いてくれる。

最近、だけだっただろうか。

「おい、急に黙ってどうかしたか?」

正也の呼びかけで現実に戻る。

「なんでもない。本当にそっち、行こうかな」

春香は、少しだけ勇気を出して言ってみた。

いつもだったら、もっと気軽に言えるのに今日は少しだけ、緊張した。

ダメと言われないことはわかっている。

正也はいつだって、早く遊びに来いと言ってくれる。

わかっているけれど、今日はなんだか違う。

「早く来いよ、最後に遊んだのいつだっけ?もう半年前くらいになるよな。気分転換に遠いところ来てみるのもありだろ。俺の仕事が空いてるときなら、俺もかまってやれるし」

いつだって何かあったときにこうして支えてくれるのは彼じゃないか。

少し前に別れた元カレのモラハラぶりを一刀両断して守ってくれたのも正也だ。

私はもしかして、ずっと気付くべきものが見えていなかったのではないか。

春香は返事をせず、正也の首筋を思い出しながらそう思っていた。

「まぁいつも通り気が向いたら来るんだろ?決まったら早めに言えよ」

春香が何を思っているか正也は知らない。

知るわけがない。

「うん!正也も疲れてるのに、今日もいろいろ聞いてもらっちゃってごめんね。ありがとう」

「気にすんな。そろそろ寝るよ。またな」

「ありがとう。おやすみなさい」

静かに切れた電話の画面を、春香は静かに見つめていた。

もうお風呂も済ませたし、あとはゆっくり寝るだけ。

さっき見た正也の首筋を思い出す。

あぁ、これはもう気付いてしまった、と春香は思う。

自分は彼に抱かれたいと思っている。

可能なら今すぐにでも会いに行きたい。

会いたい。

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