失恋したばかりで部下にばったり会って…酔った部下から攻められる話 (ページ 2)
「でさあ、突然別れようとかそんなことある?今でも信じられないんだけど別れたの」
今日はやけに店内が静かだ。
私の声がすごく響いてきこえる。はずかしい。
「先輩飲み過ぎですよ。で、彼にまだ気持ちはあるんですか?」
「いや、それがよくわかんないんだよね、好きとかそういうの。付き合って五年になるわけだし。このまま続くとばかり思ってた」
「わかんないならいいじゃないですか、別れたって」
「なんでそんなにあっさりしてんの、あ、分かった!人ごとだと思って話きいてるんでしょ、だからそんなに冷たいんだ」
「…おかわりいいですか」
マスターに声をかける牧原くんもかなり酔っている。
回らない頭で考えてみる。たしか五杯目?
でもなんでそんなに飲む必要があるのだろう。
「…あの、変なこと言っていいですか」
「え、なに?ここでおならでもすんの?」
「ちがいますって!…どうして男心がわからないんですか、坂木さんは」
元彼のことだろうか。確かに私は彼のことを深く考えようとしていなかったのかもしれない。
「さっきの話に戻りますけど、僕は一度も人ごとだと思って話をきいていたつもりはありません。…ただ…妬いちゃうじゃないですか!ずっと元彼の話ばっかりされたら!」
今なんて言った?…妬いちゃうじゃないですか?え?どういうこと?牧原くんが私に妬く?
「妬くって、え?私に」
「あああ!もう!忘れてください!今日はなんだか坂木さんといると調子がくるってしまう」
顔が真っ赤になった牧原くんを見てなんだか戸惑ってしまう。牧原くんが私に嫉妬だなんて。
七杯目をおかわりしようとした牧原くんを私は慌てて止める。いくらなんでも飲み過ぎだって。
「ああもういいじゃないですか、もう一杯くらい」
「だーめ、飲み過ぎだって」
「…可愛い」
気がついた時には遅かった。肩に顎をのせ優しく抱きついてきたのは他でもない牧原くんだった。
「…ちょっ、な、な、なにしてんの?!お店の中だって」
「じゃあ、お店の中じゃなかったらいいんですか?」
うるんだ瞳、寂しそうにひそめる眉毛、普段のしっかり者の牧原くんとは違う甘えるような声色。
そのすべてにどきりとしてしまった。
「ねえ、ちょっと、帰り歩いて帰れそうなの?無理ならタクシー呼ぶけど」
「ううん、大丈夫です。坂木さんがいっしょにいてくれたら」
にまあっと笑う牧原くんにほんの少し子どもらしさを感じた。
「やっぱり飲み過ぎよ!いつもの牧原くんじゃないもん…!」
「そうですか?たまにはいいじゃないですか、いつもと違う僕だって」
自分でいうなと言おうとした時、唇に指が触れた。
そのまま指が頬をなぞり牧原くんの両手が私の頬を包みこんだ。
「こんなに可愛い顔して怒るのは反則ですよ」
ぽかんと空いてしまった口に唇が重なる。
ゆっくりと舌を入れられ口の中をなぞられる。
絡まった舌が優しく私を包み込む。
「んんっ…」
「声、漏れてますよ、恥ずかしい」
やめてよ…これでも私久しぶりなんだから。
彼氏はいたけれどディープキスなんて付き合いたての頃にしたくらいでもうしばらくしていない。
「あ…!見えてきました。向こうにあるのが僕の家です」
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