奥手でちょっと頼りない草食系男子が優しくリードされて高められるスローセックス (ページ 3)

 月曜日の夜、二人して同時にベッドへ倒れ込んだ僕達は、淡く染めた頬のまま、やや早急に互いの服を脱がせ合った。まだ性器に触っていないのに僕も彼女もぐっしょりだった。

「もう入れたい?」
「う、うん」
「それじゃあゴム、付けなきゃね。持ってきてる?」
「あるよ、ちょっと待ってて」

 こんなに興奮していて、待ちきれない程なのに、それでも僕は彼女からのGOサインがなければ動くこともできやしない。そんな情けない僕を彼女はこれまで一度も馬鹿にしなかった。

「入れるよ」
「ふふ、どーぞ」

 この優しい彼女が、主導権を握れることに喜びを感じるような質ではないことを僕は知っている。Sの気がある訳でもないことだって重々承知だ。
 
 彼女の顔にあるのはいつだって、ただ純粋な喜びと安心感だった。この人は性の場に任せて乱暴を働いたりしない、意に反する性行為をさせられたりしない、という安心感と、性行為自体がもたらす解放感。
 
 そういうものが、彼女を昼間よりずっとリラックスさせているようだった。
 今夜は3日かけて温めてきた期待が解放される日。恐怖や不安とはまた別の緊張感が一気に弾けて消える日。濡れたそこに僕のものをあてがう。自分のものとは別の体温を感じるだけでもう終わってしまいそうだ。

「どうしようっ、来夢、気持ちいい」
「うん、うんすごい、すごいね。ゆっくり入れよう。ゆっくり…」
「やばい、もうもたないかも」
「待って、折角3日間頑張ったんだから、もうちょっと…楽しもう?」

 頭が茹で上がってしまいそうだ! 
 
 スローセックスがどういう理屈でここまで気持ちよくしてくれているのか分からないけれど、単純な話として「散々焦らされた後の本番は最高に気持ちがいい」ということなのかな。それなら僕には多少のMっ気があるってことなのかも。今度頼めば、彼女は僕を優しく虐めてくれるだろうか?

「ああっ、気持ちいい…いいね太陽」
「うん、うん、熱い…」
「もうちょっと大きく動いてみる?」
「うん…」
「あっあっあっ! すごい…もう駄目かも」
「僕、僕も…」

 二人してすっかり熱されてしまっていたから、想定していたよりはずっと短いセックスで終わってしまったけれど、その後の余韻だって最高に幸せだった。
 
 こんなにも度胸がない僕のことをこんなに気持ちよくしてくれる彼女、こんな臆病で頼りない僕と幸せになろうとしてくれる彼女のことを、せめて僕は絶対に傷付けないようにしよう。汗とかいろんなものでぐっしょり濡れた小さい体を強く抱き締めて僕はそう誓った。
 
 彼女は初日のじゃれ合いを思い出させるような優しい笑い方で「痛いよ太陽」と僕をそっと窘めた。

-FIN-

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