七夕がもたらした、夢と愛 (ページ 2)

「これ、君のでしょ?」

何枚か拾いながら、男の人が私の目線の高さに合わせてかがむ。

「君、デザイナーさん?」

「か、返してよ!」

ひったくるように奪い取り、背後に隠した。

「ただでさえ雨で濡れちゃってるのに、そんなにぐちゃぐちゃにしちゃうなんてもったいないよ」

「こんなの大した事ないって…幼稚園児だって描けるって…」

バイザーの言葉を思い出し、また胸が痛む。

自分の夢を否定された気がして…何もかもどうでもよくなって…

「そうかなぁ、僕は素敵だと思うよ。千夏ちゃんのデッサン画」

「何で名前…」

その人は微笑みながら、デッサン画に書かれた私のサインをトントンと示す。

「僕はこの荒削りな感じが好きだな。磨けば光る原石みたいでさ」

「素人に何が分かるのよ…もう死んだって構わな…んんっ…?」

「そんな事、簡単に言うもんじゃないよ」

真剣な眼差しで落とされた突然のキスは、少しだけ怒っているように口の中を強く掻き回す。

「それに、ぐしゃぐしゃに握りしめても離さないのは、それが千夏ちゃんにとって大事な物だからでしょ?」

力のこもった私の手をほぐし、優しくその指を絡める。

「そんなに悔しそうな顔をしてるのは、デザイナーになりたいっていう夢をまだ諦めてないからでしょ?」

慈しむように私の頬を撫でる。

この人は、感情が消え失せて能面のようだった顔から私の本心を見抜いたの?

小雨の中、ふいに頬を伝った雫を優しく舐め取られた。

「ほら、それが千夏ちゃんの本心。泣きたいだけ泣いていいんだよ」

そう言いながらも、声をあげて泣く暇すら与えられないほどに優しくキスを繰り返す。

「んっふ…ん…きゃっ!?」

自然とそのキスに身を委ねていると、突然抱き抱えられ、草むらの奥の樹の下へと連れて行かれた。

「流石に誰かに見られたらまずいしね。冷たくない?大丈夫?」

私を横たわらせ、少しでも雨が当たらないように覆いかぶさる。

「背中は冷たいけど…身体は…熱い…」

「ん…くちゅ…お酒の味がするね…」

またキスを繰り返しながら、ゆっくりと手を身体のラインに沿って這わせる。

服の上から胸の突起を親指で優しく撫でまわされた。

「んっ…んっ…」

そのまま、更に下へと降りていき…

くちゅ…

「…あれ、千夏ちゃんのここ、濡れてるしほんとに熱い…」

くちゅくちゅと優しく秘部をさする手は止めずに不思議そうに言う。

「あっ…ん…だってさっきまで…」

「…あ、ごめん…彼氏さんと…?」

初めて彼の手が止まった。

私は目を逸らしながら首を小さく横に振る。

「女の子なんだから自分を大事にしないとダメだよ」

「貴方がそれを言う?」

「…確かに」

ふふっと微笑んで、またキスをされた。

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