人気俳優に溺愛されて秘密の恋。私、だたのハウスメイドだったのに… (ページ 2)

じっと私を見る薄茶色の目はなんだがエキゾチックな魅力となんとも言えない迫力があった。

「…マネさん、俺ってまだまだなんだね」

「あー…優里奈は芸能人とかそういうのに興味がないから」

「無反応初めてで新鮮すぎる」

喉を鳴らして笑う彼は、従兄曰く巷で大人気の若手俳優だという。そう言われれば何となく、街頭広告などで見た顔かもしれない。私のそんな反応に彼は肩を震わせて笑っていた。

*****

そんな衝撃的な初対面から数か月…正直、どうしてこんな風になってしまったのか私も理解が出来ない。

「あの、貴明さん…邪魔です」

キッチンで彼の夕飯と明日以降の作り置きを用意している時だった。仕事から帰ってきた貴明さんがシャワーを済ませたかと思うと私の背後にべったりとくっついている。

これが小さい子なら、母性でも感じるかもしれないが、ひっついているのは大柄の筋肉質な成人男性だ。いろいろと問題があり過ぎる。とはいえ相手は雇い主なので、あまり強くも言えずどうしたものかと作業をしていると大きな手が私のお腹をスリッと撫でてきて私は思わず手にしていた菜箸をポロリと落とした。

「貴明さん、これはさすがにセクハラですよ」

貴明さんは私の言葉に怒られた犬みたいな顔をした。私はその顔に一瞬、情けをかけそうになったが毅然とした態度で「今までのハウスメイドの方がどうだったか知りませんが私、性処理までは頼まれてないんで」というと貴明さんはあからさまにショックを受けた顔をした。

「俺、そういう奴だって思われてたの?」

「スキャンダル避けるために手近な所で済ますのかなと」

「それって、君のことを従兄が売ったって言ってるみたいだけど、そんなことする人じゃないでしょ」

「ええ、だからそこまでは仕事の範囲外ですって言ってるんですよ」

何言ってんだ?と私が貴明さんを見ると、彼はますますしょぼくれてテレビでみるワイルドな容姿が形無しだった。

「今までのハウスメイドさん、全員ご年配の方だったからそういうことなかったし、てか俺、結構分かりやすくアピールしてたと思うんだけど…優里奈ちゃんのこと好きだって」

「…は、い?え!?」

「優里奈ちゃん、俺のことちょっとも眼中にない?彼氏もしかしている?」

じっと正面から見つめられて私はボッと自分の頬が熱くなるのを感じる。ちょっとも眼中にない、わけではない。一緒に時間を共にするたび素敵な人だとは思っていた。

けどあくまで仕事上の付き合いだし、なにより売れっ子俳優とハウスメイドではあまりに釣り合いが取れないから夢物語ですら考えたことがなかっただけだ。

「…ね、その顔。俺、期待しちゃうよ」

貴明さんの大きな手が私の頬を撫でる。そのまま、彼の指先が滑り私の唇に触れる。私はその指先をそのまま受け入れた。

コメント (0)

コメントを書く