自分に自信がない彼とのゆっくりした夜、時間をかけすぎて翌朝の体に異変が… (ページ 2)

「ごめんね、ごめんね。大丈夫?」
「う…ちょっと今は待って、触らないで…」

 このままでもいい、とは言ったけれど、本当に「このまま」になるとは思っていなかった。

 昨夜の優しいセックスは何時間にも及んだ。彼が何発も出した、という訳ではなくて、スローセックス耐久でもしているのかと思うくらい、私も彼も達しないまま繋がり続けていたのだ。

『ずっとこうしていたい。駄目かな、楓の方が辛いかな?』

 気遣いを続けてくれた彼に応えたくて、私も彼を締め付けることなく長い間ずっと留め続けていた。達しないギリギリのところでせき止めておいた気持ちよさを、二人して何時間も共有して…気が付けば空が明るみ始めていた。

 窓の外で車の音が聞こえ始めたことに気付いた彼は慌てて私から引き抜いたけれど、その時のくぱっという音と、強烈な喪失感が忘れられない。
 
 今だってそうだ。達することなくギリギリで留まっていた私の体は熱く火照ったまま。体を起こして立ち上がれば、中が彼の形に窪んでいるのがありありあと分かる。空気の入るコポ、という感覚にさえ興奮する。こんな状態で終わるとは思っていなかった。苦しいくらいに激しくしてくれた方がまだマシだった!

「楓、大丈夫?」

 リビングで蹲った私に彼が手を伸ばしてくる。私は思わずその手を掴んで口に入れた。さながら彼のものを舐めるような舌遣いで、それはもう必死に舐めた。わっと驚きに声を上げた彼の顔が赤くなっていることを確認して、お願い、とその目に懇願する。
 
 どうかその気になってほしい。ほら、どうせ今日は休みだよ。昨夜は聡の言うことを聞いてあげたんだから、今度は私にくすぶるこの熱をどうにかして。放っておかないで。あなたのカタチになったこの中にまた戻ってきて。

「ど、どうしたの?」
「聡が中にいないことが不安なの。お願い、もう一回だけしよう。今度はちゃんと揺さぶって、気持ちよくさせて」
「き、気持ちよくなかった?」
「そんなことない、よかったよ。でも終わりがないまま出されちゃったから、この気持ちと熱の行き場がないの」

 聡だってそうでしょう? そう告げて、立ち上がりかけた彼のズボンにそっと触れる。

「…君が」
「え?」
「僕の思いのままに揺らすと、楓の体が辛いかもって思ったから…だから我慢していたんだ」

 うーん、優しすぎる。私は「ありがとう」と笑って肩を竦めた。
 繊細なガラス細工を扱うように、いつだって丁寧に優しく触れてくれる彼。
 
 でもちょっと丁寧さが過ぎるみたい。今後は「もっと激しくしても痛くない」ことを、どうアピールしていけばいいか考えなきゃ。
 …もしかしたら、私から動けばいいのかも?

「大丈夫だよ、ね、もう一回だけしよう。今度は私が動くから」
「ええっ!?」

 顔を真っ赤にした彼へと、私も真っ赤な顔で笑い掛けてキスをした。さあ、今度はもっと熱く繋がろう。

-FIN-

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