発作的な現実逃避先で出会ったコンシェルジュに快感だけの世界に導かれる (ページ 3)

「こちらです」

フロントで諸々の手続きをしてから、利人さんと一緒に今夜の部屋に入った。

「可愛い!」

ミントグリーンの壁と真っ白な天蓋つきのベッド。

天井の中央には小さなシャンデリア。

「千星様にぴったりの部屋だと思いまして」

にこにこと笑う利人さんの言葉に頬が熱くなった。

「そのままのお洋服では寛ぎにくいでしょう。着替え一式、すぐに持って参ります」

わたしが返事をする前に、利人さんは部屋を出て行った。

仕方なく、バッグをテーブルに置いてベッドに座る。

スマホの画面には会社からの着信を知らせるポップアップ。

画面を睨んだままでいたら、控えめなノックが聞こえた。

「失礼いたします」

返事をすると利人さんが入ってきた。

「下着と着替えでございます」

「ありがとう、ございます…」

「今お召しのものは、私どもが洗濯しておきますので」

至れり尽くせりのサービスに、逆に腰が引ける。

「わたし、お金あんまりなんですけど…」

「全て無料のサービスですのでご安心ください」

「でも…」

「千星様が望まれることは、何でも私が叶えます」

利人さんの微笑みは優しいけれど、どこか妖しくて、手のひらがじわりと汗ばむ。

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