昨夜の記憶が曖昧な中目を覚ますと監禁されていて…拒絶できないぬくもり (ページ 3)

無理やりこじあけた薄目。

視界を覆うその布は不完全に薄い。

多分、ハンカチかなにかだ。

しかも女性もの。

だって、目の前ピンクのお花畑なんだもん……。

そういえば、身動きがとりづらい。

縛られているのかと思ったけれど、そうじゃない。

「ぎゃっ!」

私がお布団だと思って抱き着いていたそれは、人間で、しかも、その人も私のことを抱きしめている!

アキナちゃんかな、なんて希望は儚く散る。

固く、熱い胸板なんだもの……。

私は男性の拘束をなんとか抜けようと四苦八苦したのだが、ふっと思い当った。

――私、もしや監禁されているんじゃ……?

だって、最近そういうヤンデレ的なニュースよく聞くし。

普通に目隠しって犯罪の臭いするし……。

下手に起こして暴力を振るわれたら、と考えると恐怖に身を竦めた。

そのとき、

「うん……朝……?」

ぎゃー!

起きちゃった、起きちゃったよ監禁目隠し変態男!

私は彼の腕の中で、胸元に耳を寄せた体制のまま固まった。

やばい、ここは死んだふり……じゃなかった。

寝たふりだ。

寝たふりをして状況を読み取るのよ、千夏。

私を抱きしめた体制のまま、彼はしばし固まっている。

その間、胸の鼓動が速くなる。

規則正しいそれが、暴れているみたいになった。

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