引っ越し作業の依頼を受けてやって来た運送業者の男の子―その逞しい肉体と優しげな雰囲気に身体の奥がくすぐられ… (ページ 4)

私はまた淡々と作業をこなした。

なのに、体の奥がじんじんと疼く。

「これで終わりですね」

カイ君が最後のダンボールを部屋に運び、引っ越しは完了した。

「お疲れ様でした。これ、どうぞ」

作業の合間に自販機で買ったお茶は、わたし達と同じように汗だくになっている。

「ありがとうございます」

それでも、カイ君は美味しそうに緑茶を飲み干した。

上下する喉の動きを見つめる自分に気づき、私は慌てて部屋を見渡した。

「ん?なんか、変な音がする…」

微かにごそごそと動く音。

「本当だ」

カイ君もお茶を置いて、耳を澄ませている。

「もしかして…ゴ…」

名前を言うのもおぞましく、私はカイ君に視線で助けを求めた。

「大丈夫です。僕がやっつけますから!」

丸めた新聞紙を持って、カイ君が音の発信源を探す。

「この中っぽいですね」

小さなダンボールの中からは、確かに羽音に似た音がした。

「開けるんで、リコさんは離れててください」

日に焼けた手のひらが、じわりじわりと蓋を開ける。

中を覗き込んだカイ君が、息を飲んだ。

「あの…虫じゃないみたいです…」

「え…じゃあ、なに?」

すぐに私も中を見る。

そこには、小さな水色のローターがあった。

何かのはずみで電源がオンになったらしい。

それが一緒に入れた雑誌に当たって音を立てていたようだ。

「本当にごめんなさい…!!」

恥ずかしいやら気まずいやら、とにかくもうカイ君の顔が見られない。

「いや、僕こそ、ごめんなさい」

「いやいや、カイ君が謝るようなことは何もないし」

伏せていた目線の先に、カイ君の下半身。

その真ん中が自己主張をしている。

「え…?」

「ごめんなさい…リコさんがこれ使うの想像しちゃって…」

顔を真っ赤にしたカイ君と目が合った瞬間、私の理性の糸がぷつんと切れた。

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