彼に振られて落ち込んでいたら、バーテンダーのお兄さんに告白されて…!?
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彼に振られて落ち込んでいたら、バーテンダーのお兄さんに告白されて…!? (ページ 1)
「奈央ちゃん、いらっしゃい」
「孝弘さん。こんばんは」
毎週金曜日の退社後に訪れるバー。路地裏にひっそりと佇んでいて居心地がいいから、ついつい何度も通ってしまっていた。
「今日は何飲む?」
「とりあえずマーティーニで」
「はいよ」
彼は手際よくカクテルを作ると、私の目の前に差し出した。それを勢いよく飲む私。
「なんか、今日元気ない?」
「え…?」
「いや、いつもはそんなにぐびぐび飲まないからさ。なんか嫌なことでもあった?」
「お見通しなんですね」
「俺でよかったら、話聞くよ」
グラスを拭きながら彼が言う。
「…お付き合いしてる彼がいるって話してたと思うんですけど、振られちゃったんですよね」
「あぁ、マッチングアプリで出会ったって言ってた彼?」
「そうです。他に好きな人がいるって。典型的な振られ方ですよね」
そう言いながら、またお酒に口をつける。
「心当たりはないの?」
「全然。何がいけなかったんですかね。好きだったのにな」
「まぁ、そんな簡単に別れを告げてくる男だったってことは、意外と別れて正解だったのかもよ」
「そうなんですかね…」
「だと思うよ。っていうか、ほんとに今日ペース早いね。もう一杯作る?」
「お願いします。孝弘さんのおすすめで」
「おすすめね」
ぼんやりと彼がカクテルを作る手元を眺める。お酒の好きな人だった。今度一緒にこのバーに来てみたいな、なんて思ってたのに。
「はい、アプリコットフィズ。あんずを使ったカクテルだよ」
「初めて飲みます」
一口飲んでみると、爽やかな味が広がった。
「おいしい」
「でしょ」
「なんでこのカクテルにしたんですか?」
「カクテル言葉って知ってる?」
「あぁ、一応そう言うのがあるっていうのは」
「アプリコットフィズのカクテル言葉は振り向いてください」
「え?」
「…俺にしといたらいいじゃん。幸せにしてあげるよ」
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