片思いしていた彼が童貞と知り、初めての女になりたくて誘惑したら何故か嫉妬されて…

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片思いしていた彼が童貞と知り、初めての女になりたくて誘惑したら何故か嫉妬されて… (ページ 1)

私、奈琉は数年来片思いをしている。中学時代からの同期、優弥にだ。彼と離れたくなかった私は、自分でもヤバイと思いながらも優弥と進路を歩いていたけど告白する勇気は年を重ねても得ることが出来なかった。

だって、優弥はいわゆる圧倒的主人公タイプの男の子だったから。非常にモテた。
モテた…けど「思っていたのと違う」という理由で振られる事も多い。大人になるにつれて彼についたレッテルは【顔と声は主人公みたいだけど中身が友達どまりでいい感じ】というものだった。

顔と声は本当に良い。爽やかで明るい笑顔が人懐っこくて可愛いのに身長は180㎝と高い。溌剌としているけど落ち着いた低音は、聞いているだけでもうっとりしてしまう。だけど…。

「奈琉…俺のどこがダメなんだろう」

居酒屋の個室で、頭からキノコでも生やしそうな勢いの優弥の声はそれはもう非常に情けない声色だった。

「何回目だっけ?やっぱり友達で~って振られるの」

「もう数えるのはやめた」

彼の拗ねた声に私は苦笑する。私は告白こそは出来なかったが一番に頼れる女友達……になっていた。だからこそ、彼のこの情けない姿を見るのは私の片思いの年数分ある。
両手でビールのグラスを持ったまま鼻を鳴らす優弥。イケメンが台無しだと笑ってやっているが、私にとってはこれもまた可愛い彼の一部だった。

「俺、このままじゃ妖精確定だ」

「は?」

「聞いたことねーの、男はなぁ、30まで童貞だと妖精に」

「それ、魔法使いじゃない?」

「どっちだって一緒だろっ!うぅ」

私は悪い酔いしている優弥の発言に一瞬固まった。振られた回数も多いが優弥に彼女が途切れたことが無かった。だから、もうすで経験済みだと思っていた。魔法使いは嫌だと喚いているが、私達はまだ26で、若干の猶予はある。むしろ、猶予がないのは私の方だ。

「魔法使いくらい良いじゃん、こっちとらそろそろ結婚も考えないと」

「は?え、奈琉…結婚すんの?いつ!!」

「いや…相手もいないのに今すぐにはしないよ。ただ年齢的にそろそろ、ね」

周りの子達は既に婚活を始めている。晩婚の時代で、結婚が女の幸せなんてもう古い時代だけど、ライフプランを考えればそこそこに焦る年齢でもあった。私もこの不毛な片思いに決着をつける頃なのだろう。そう思うとふっと頭の中に一つの考えがよぎった。

――優弥の童貞、思い出に貰っちゃったらいいんじゃない?

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