ずっと片思いだと思っていた彼とは実は両思いと分かり、初体験なのに感じてしまう。

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ずっと片思いだと思っていた彼とは実は両思いと分かり、初体験なのに感じてしまう。 (ページ 1)

はぁ~。
と、紗季は大きなため息をつく。

紗季はいつものことながら、恭哉の家で勉強していた。

「大学生になったら遊べるって言ったの誰~?レポートばっかで遊べないじゃん」
「理系を選んだのは自分だろ?」

苦戦する紗季とは対照的に、恭哉は順調なようだ。
そんな恭哉の様子を見て、紗季は少しムッとする。

「いいよね、恭哉は。勉強得意だもんね」
なんて嫌味を言いながら、視線を落とす。

目に入るのは教科書でも、書きかけのレポートでもない。
恭哉の手。

指は明らかに自分より太く、角ばっている。日焼けしていて少し茶色いところも、紗季の気持ちを引き付ける。

さっきため息をついたのは、決して目の前のレポートに迫られたからではない。
寧ろ、恭哉に迫られたいから。

なんて思いを口に出すこともできず、高校時代からの片思いに全く気付く気配がない恭哉に対する呆れが漏れたのだ。

「ねえ、この部屋暑すぎない?」

紗季はわざとらしくTシャツの胸元を仰ぐように引っ張った。

「エアコン温度下げようか」

そう言いながら、恭哉はリモコンを操作した。

「お前さ、俺以外の前でもそんななの?」
「何が?」
「一応女子なんだから、服をそんな風に引っ張ったりするなよ」
「あはは、そんなこと」
「目のやり場に困るんだよ」
「おやおや?それはつまり恭哉は私のことを女として見てるのかな~?」

紗季は恭哉に近づき、挑発するかのように襟首を開いて見せた。

「一人暮らしの男の家に上がるだけでも、そういう意味って思われるぞ」
「そういう意味って、どういう意味?…きゃっ!」

次の瞬間には、紗季の視界は天井に移っていた。

「え…?」

状況を把握するのに数秒。
恭哉が紗季を押し倒したのだ。それも、ご丁寧にベッドの上に。
紗季の手首を抑える恭哉の力は圧倒的に強く、紗季は全く身動きが取れない。

「な、なに?」
「俺だって男だ。そういうことしてたらこうなるの、分かってただろ」

紗季は動揺した。
今までどんなに誘惑しても、決してなびくことがなかった恭哉にこんなことされたのだから。

「え、えっと…」
「分かったら他の男の家に一人で行ったり、胸見せるようなことするな」

そう言いながら、恭哉は紗季の手首を解放した。

「…しないよ?」
「え?」

紗季は起き上がって、恭哉の目を見つめた。

「私、恭哉以外の男の家には一人で行ったことないし、谷間見せるようなこともしたことないよ?」

今度は恭哉の目が泳ぎ始めた。

「え、他の男には…?俺だけ?なんで?」

そんな様子を見て、紗季は面白くなって笑った。

「あはは、何それ。そんな恭哉、初めて見た」

恭哉はまるでバカにするなとでも言いたそうに、紗季を睨んだ。

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