消極的な彼氏。優しいけれど煮え切らない、そんな態度に不満を募らせて… (ページ 2)

「先お風呂どうぞ、もう多分沸いているよ」

彼はいつもこうだ。

私としては二人で一緒に入りたいのだけど。

「桜井君は自分の思っていることを口に出してる?」

本当は私と一緒にお風呂に入りたいと思っているけれど、恥ずかしくて言い出せないとか。

そんなことを考えていると、予想もしない言葉が桜井君から出た。

「それは千歳さんも同じじゃないかな。……僕と一緒にお風呂入りたいって、言い出せない」

「気づいてたの!?」

「まあね」

意外とこの男、サディスティックなのかもしれない。

「千歳さんの今の反応すごく可愛かったから言わなくてもいいよ、一緒に入ろうか」

私はまるでミイラ取りがミイラになったようだなあなんて思った。

お風呂から上がると、桜井君がスマートフォンの動画モードをオンにした。

ぽおん、と音が鳴ったのですぐに分かった。

「僕こういう、作品作りって興奮しちゃうんだ。それが好きな人とならなおさら」

「な、なるほど」

「じゃあ、バスローブを脱ぐところから」

そう言って彼は画面に視線を移す。

カメラにはこれから私の痴態が映されるのだ。

「僕の膝の上に乗って」

「うん……」

するりと肩を露出させる。

なんだか撮られていると思うとスイッチが入ったように淫らな女を演じたくなってきた。

人差し指で胸元を開ける。

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