漫画家と編集者――越えてはならない一線がある、そう分かっていたのに… (ページ 4)

「……果歩ちゃん?」

「先生、私っ……」

「そうゆうのは……本当に好きな人とするものだよ」

「そんなこと…先生に言われたくないです!いつも違う女の人としてるくせにっ…」

思わず本音が出てしまう。

「チッ…」

先生の舌打ちが聞こえてズキンと胸が痛んだ次の瞬間、私の背中は大きく傾いた。

(えっ…?)

気付いたら目の前には見たこともない先生の顔と、その奥には天井が見えた。

状況が呑み込めないまま、私はあっという間にソファーに組み敷かれた。

「俺が……なんでいつも女を抱いてるかわかるか?」

「それは……」

穏やかだった先生の瞳が、熱を孕んでまっすぐに私に降り注ぐ。

「手を出しちゃいけない女を思って抱いてるからだ…」

「え……」

「そいつのことを考えながら、そいつとしてるのをリアルに想像して感じながらヤッてんの…」

「……先生?」

「俺が好きになった女は大事な仕事仲間だ…だから他の女をかわりにして何とか抑えていたのに……」

「んっ…」

突然首筋に甘く噛みつかれて、胸が早急に揉みしだかれた。

「あっ…あの、ん……っ」

訳も分からず身体が弄られていく。

「多分……俺はその女をめちゃくちゃに抱くよ?きっと、泣こうが喚こうがだ」

私を見つめ直して、先生はゆっくりとスカートの中に手を入れてきた。

「信頼していた相手に犯されるんだ……それでもいいのか?」

「ぁ……っん」

指先がストッキング越しに敏感な場所を探る。

私に問いかけられたその言葉をようやく理解した今、身体は急速に熱を持った。

望んでいた場所に指が到達すると儚い吐息が溢れる。

私は先生を見つめ返して何も言わずに頷いた。

「……後悔、するなよ?」

「しませんよ……だって私も、先生のことが好っ…っ……」

伝えたい想いを最後まで言わせてはもらえず、先生は荒々しいキスで私の唇を塞ぐ。

「……もう充分だ、そうゆうことなら早く抱かせてくれ」

もう一度、奥まで深まっていく激しい舌に翻弄されながら、私は彷徨う両手を広い背中に回した。

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