一度別れた私たち。心の底ではもう一度恋人に戻りたいと思ってしまっていて…

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一度別れた私たち。心の底ではもう一度恋人に戻りたいと思ってしまっていて… (ページ 1)

世の中にはタイミングというものがあるらしい。

良太は職場の同期だった。
同じ研修を受け、同じチームで働いて、自然と距離が近くなる。

お付き合いをするようになって、特に大きな喧嘩もなく1年が経ち、2人でいることが当たり前になってきた頃、不穏な風が吹き始める。

仕事の忙しさには波がある。
大きなプロジェクトの前になると残業が続き、2人の時間が取れなくなっていった。

良太なら許してくれる。
由衣なら気にしないでいてくれる。
そういった互いの信頼が、油断につながって、次第にすれ違っていった。

私は良太が好きだったし、良太も私を好きでいてくれた。
けれど、私たちは別れる選択をしたのだった。

*****

来月私は30歳になる。
これは揺るぎのない事実。つらい。

「ゴメン由衣、彼氏から連絡きた」

金曜日。仕事終わりに職場の友人と居酒屋に来て飲んでいる。

「いいよ、いってきな?彼氏は大事にだいじ~~にしないと」
「…言葉が重いって!」

友人の苦笑い混じりのツッコミに乾いた笑みをこぼす。
彼氏がいるのは羨ましい。けど、出会いを求めにいく情熱がもはや私にはなかった。

「ほんとにゴメンね!お詫びに『とある人』を呼んだから、そのままここで待ってること!」

すぐに来るから、と念を押して友人は店を後にした。
『とある人』とは誰だろう。
もしかしたら同期の誰かかもしれない。そこまで気を使ってくれなくてもいいのに。

しばらくすると店の扉が開き、よく見慣れた男が入ってきた。

*****

「良太…!」
「おー!由衣、久しぶり…でもないか。職場で会うもんな」
「話すのは久しぶりじゃない?」

元気だった?と聞くと、明るい笑顔で「おう」と良太が返事をした。

さっきまで友人が座っていた席に良太が腰かける。
向かい合わせで座ると少しむず痒い気持ちになった。
職場で話す時はなんとも思わないのに。なぜだろう。

けれど、飲んで笑っているうちにそんなことは気にならなくなっていった。
店を出て、酔い覚ましをかねて駅まで遠回りをする。夜風が気持ちよかった。

「そういえばさ。なんで今日、来てくれたの?」

そう聞くと、優しく腕を掴まれた。

「由衣とやり直したくて」

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