片思いをしている幼馴染に頼まれてスライムの餌やりをしようとしたら突然襲われて

「この子の餌やり？全然いいよ」

「本当、クレアありがとう」

「大げさだなぁ、それぐらいいいのに」

私はキールに渡されたジャム瓶の中に閉じ込められたピンク色をした球体の生き物に笑いかけた。
球体は瓶の中で静かに転がっていて核と思われる小さな赤い丸が透けて見えていた。
　
活発な私と、身体は大きいのに人見知りで静かなキールは幼馴染でずっと一緒だった。
小さな村で育ち、お互い類まれなる才能を認められ大都市の魔法学校から推薦を貰った。
私は魔法学、キールは魔法生物学と学科は違えど支え合って優秀な成績を収めて二人で過去最高成績を叩き出して卒業。
今度は王様直々に推薦をいただき魔法研究の権威である王立魔法研究所で働ける事になった。

もちろん、研究所内でも私達の部署は違うけれど私達の関係はずっと続いている。
これから先もきっと変わることはないだろう。
キールが好きなことは私の心の中に秘めておくのだから。

「ところでこの子、でいいのかな。何の生き物なの」

「魔力を吸い取るタイプのスライムをより強化しで効率良く相手から吸い取れる様になったスライムだよ」

「あー…、それで私に」

キールの説明に納得して頷いた。

私は生まれつき人より何倍もの魔力を備わっている。
他人が一発で打てなくなるような大魔法だって私には何発だって打てる、まさしく脳筋。
そんな魔力量一本で勝負する私には魔力を餌にするスライムの餌やりはぴったりな仕事と言える。

「じゃあ、さっそくだけどいい？」

「え、今から？」

「昨日から魔力を与えられてないんだ、だから…」

「う…、わかったよ」

私がキールの甘えた顔に弱いの知っててやってるのか、眉尻を下げた顔に思わずキュンと来て承諾してしまう。

「僕の部屋、行こう」

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魔法研究所では一人一人に専用の研究室が与えられている。
研究室の広さは役職によって異なるが、魔法生物学の研究者の部屋は魔法生物の入ったケージや水槽を置かなければいけないので特別広い。
キールの研究室も私の研究室の倍の広さがあるが、どこを向いても魔法生物の入った瓶や水槽が並んでいる。

「えっと、餌やりはどうしたらいいの？」

「瓶をあけたら自分からよってきて吸ってくれるから、お願いします」

「そんな他人行儀な、全然いいの、…に？」