人間ドックでドッキドキ!検診ってこんなにエロいの?病院の死角はカオスワールド!

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人間ドックでドッキドキ!検診ってこんなにエロいの?病院の死角はカオスワールド! (ページ 1)

早朝の総合病院。

「ふぁ~、眠う~。7時集合なんてありえないわ…」

あくびを噛み殺しながら、美咲は古ぼけたエントランスを通過した。

35歳になると職場から人間ドックの受診を義務付けられるので、無理くり早起きしてやってきたのだった。

受付を済ませ、検査着に着替える。

順番に呼ばれて、検査項目ごとにそれぞれの検査室に入るのだが、とにかく待ち時間の長いこと長いこと。

退屈しのぎに古風な院内の様子や、同じく順番待ちしている受診者たちを眺めていた。

採血のとき、自分の直前の男性はなかなかのイケメンだった。

彼とナースとの親しげな会話から男性の名前は俊介ということがわかった。

次に同じナースから採血してもらったが、注射器の扱いが下手くそで、思わず、痛い!と声が出てしまった。

「あら、すみません。血管が細くて針が入りにくくて…」

やる気なさそうに謝罪されて内心イラつく。

息がタバコ臭いし、声もガラガラ、口紅も紫っぽくて品がない。

(まったくぅ。看護師の教育がなってないわね、この病院)

心のなかで悪態をつきながら、気を取り直して次の検査室へ向かうと、廊下の途中で俊介がなにやらキョロキョロしている。

(何か探してるのかな?)

たまたま自分の足元を見ると、検査のたびに記入するチェックシートが落ちている。

拾い上げると俊介の記名があった。

「落ちてましたよ」

気さくに手渡すと俊介は大喜びだ。

「あ、ありがとうございます。失くしたかと思ってあせってました。たはは…」

それをきっかけに二人は待ち時間の合間に短い会話を交わすようになった。

俊介の会社でも35歳以上の受診義務があり今回初めて受けたこと、俊介は去年盲腸でこの病院に入院していたことがあり、それで、採血のときの紫口紅のナースと顔見知りであることがわかったのだった。

レントゲン検査をしたときは、発泡剤とバリウムを飲んで、こみ上げるゲップを我慢しながら、機械に乗せられ、宇宙飛行士の訓練のようにグルグル回転してフラフラになった。

内臓のエコー検査では、真っ暗な部屋で女性検査士からヌルヌルのローションのようなものをお腹に塗られ、妙に怪しい雰囲気になった。

ある意味、非日常的で新鮮な体験だが、けっこう疲れてきた。

昼近くにすべての検査が終わりやっと解放されたが、二人ともお腹ペコペコだ。

検査に備えて、昨晩は早い時間に軽い夕食をとり、それ以来、今朝も何も食べてないのだった。

「やっと終わりましたわね。あ~、しんどかった。採血のところがまだ痛いわ…」

「お腹すきましたね。よかったらこのまま病院の食堂へ行きませんか?」

「でも私、お財布とかロッカーに置いたままだし…」

「大丈夫。僕、小銭入れ持ってきましたから。安い食堂だし僕におごらせてください。早く行かないと混んじゃいますよ」

「ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて…」

二人は上階にある院内食堂へ向かった。

幸い食堂は空いていた。

二人は、なんでもいいからとにかく早く食べたくて、カレーライスを一緒にオーダーしたら即座に出てきた。

「ここのカレーは安くておいしいんですよ」

「ホントだ!しっかりした大人の辛さだわ」

夢中になって5分で平らげ、ひと心地つくと、美咲の中でにわかに盛り上がる衝動がある。

今日は体重も計るし、血糖値や肝機能検査でいい数値を出したくて、この1週間ほどお酒もスイーツも我慢していた。

その忍耐のときが終わって、今や空腹も満たされて、ハッピーな気分になるはずなのに…。

(厄介事がやっと済んだのに、このモヤモヤはなんだろう?)

俊介も食べ終わると、二人のカレー皿を片付けて、紙コップにコーヒーを持ってきてくれたが、急に無口になり、チラチラと美咲を見ている。

しばしの沈黙。

キーンコーンカーンコーン…。

昼の鐘が鳴り、ハッと我に返り、目を見合わせる二人。

「そろそろ混んできますね。このコーヒーを飲んだら、僕らはそろそろ出ましょうか?」

「そうね…あ!」

「わ!熱っ!」

美咲が不意に紙コップを倒してしまい、俊介の検査着の太ももがコーヒーで濡れた。

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