夜桜の下で出会った不思議な男性との優しい一夜の物語 (ページ 2)

気のせいかと思ったら、もう一度確かに確かに聞こえた。

「どうしたの?」

「え・・・」

顔をあげると、目の前に、若い男が立っていた。切れ長な瞳で、私を見つめている。

「あなたは誰?」

「俺は、八重」

「八重・・・」

聞いたことがあるような、ないような。なんだか懐かしい・・・

「な、なんですか」

「君が、悲しい顔をしていたから」

「え・・・?」

彼が、私の頭にぽんと手を乗せた。不思議と、嫌な感じはしなかった。彼は困った顔をした。

「俺はもう、君の悲しむ顔を見たくないんだ」

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