バーを出てから記憶がない…しかも何故か隣には裸の課長がいて…。 (ページ 2)

「あ、あの、かちょ……」

「名前を教えただろう」

「えーと……ひゃっ」

 額に落とされた課長の唇は、頬から首筋にたどっていく。

 くすぐったさと同時に走った甘いしびれに、唯子は身をすくませた。

 官能をたかぶらせる唇は胸のふくらみにたどり着くと、きつく吸いついた。

 ビリッと快感が駆け巡り、唯子は「アッ」と小さく声をあげて背を反らす。

 彼女のもだえる腰を押さえつけるように少しずつ下がっていく課長の頭を、唯子は欲情し始めたうるんだ目で見つめていた。

 ちらりと向けられた視線に、唯子の胸が高鳴る。

 課長の目には、唯子に寄せる確かな男の欲があった。

 彼の唇は、唯子の高鳴る胸の頂をかすめてなだらかな腹部へと下りていく。そうしながら腰のラインをくすぐるようになぞった。

 ぞくぞくする快感の波が、触れられた唇の軌跡と手のひらから唯子を侵食していく。悩まし気な吐息がこぼれた。

 ようやく唯子は、自分の身に起きていることが現実だと実感した。今まではあまりにも唐突すぎて、夢ではないのかと半ば疑っていたのだ。

 それにしても、なぜ課長のような有能な人が平凡な自分を、と尋ねたい唯子だったが彼の大きくてあたたかな手が唯子の太ももをすべると、気持ち良さにその疑問はかき消されていった。

 唯子が思わず身をよじったため触れやすくなったやわらかな尻へ、課長の手が移動する。

 あっ、と思った時には、唯子の尻はキュッとつかまれ、やわやわと揉まれていた。

「やっ、やだ、明さん……っ」

「名前、やっと思い出してくれたね、ありがとう」

 唯子は口からついて出た名前に、ハッとした。そして、その名前を教えてくれた時のことを思い出す。

 課長──明は唯子にキスをして、これからは名前で呼んでほしいと言ったのだ。

(そうだ。その後、傷ついて酔った私につけ込むようで悪いと言いながら告白されて……)

 彼を受け入れたのだった、と唯子はようやく思い出した。

 ついでにその時、少し自棄になっていたのと尊敬する上司に好意を示されて嬉しかったのと酔っていたのとで、思考力や判断力がかなりあやふやになっていたのも思い出し申し訳ない気持ちになった。けれど、明の想いに応えたことに嘘はない。

「あの、私……」

 唯子が言いかけた時、彼女の尻を揉んでいた明の手が脚の付け根へとすべりこんだ。やさしい手つきで内ももをなでる。

 そこは確実に唯子の感覚をふるわせ、彼女は短く息を吸い込んだ。

 内ももをさする明の手は、しかし肝心なところには触れなかった。そのギリギリをかすめるだけだ。

 唯子は思わず出そうになる声を、ぐっと飲み込んだ。

 しかしその口は、身を起こした明にふさがれた。

 二度目のキスは貪るような情熱的なキスだった。

 唯子はほんの刹那の息継ぎをするだけで精一杯になったが、それでもしだいに息苦しくなっていった。

 唾液を吸われ、また受け入れて。繰り返すごとに身体が熱くなっていく。

 密着する明の体温もあがっているのか、触れ合う肌がしっとりと汗ばんでいった。

 いつの間にか、唯子は明の背に腕を回し夢中になってキスに応えていた。

 角度を変えて何度も唇を吸われながら、唯子のカタチの良い胸は明に揉まれていた。下から持ち上げるような揉み方に、胸の先端が反応する。

 けれど、一番触れてほしいところには触れてくれない。唯子の胸の先は、切なく存在を主張するだけだった。

 唇を開放された唯子は、たまらなくなって明にねだった。

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