ハジメテの男に嫉妬した年下彼氏の独占欲に抱かれる夜 (ページ 2)
「そうだね」
30歳を目前にして処女であることに焦っていた私は、体目当てのあからさまな口説き文句に乗った。どうせ、明日には会わなくなる。そう思ってホテルについて行った。
「気持ち良かったですか?」
「7年も8年も前のこと、もう憶えてないよ。でも、痛かったのは憶えてるかな。血も出たし」
「血、出たんですか?」
カイ君が眉間に皺を寄せた。不機嫌な顔すら爽やかで、本当に私とは釣り合わないなと思う。
「タイムマシンが欲しい」
ビールをぐっとあおって、カイ君が溜息を吐いた。
「過去に戻って、そいつに抱かれる前のリコさんを抱きたい」
「カイ君、酔ってるの?」
普段の冷静な態度とは違う、駄々っ子みたいな言い方にびっくりする。
「酔ってません。まだ、二杯目ですよ?」
「じゃあ、なんで、そんなにこだわるの」
「嫉妬してるからに決まってるじゃないですか」
カイ君は二回目の溜息を吐いてから苦笑した。
「…うざいですよね。こういうの」
「うざくはないけど、よく分からないかな。過去のことだし」
私はカイ君の過去に嫉妬なんかしない。それなりに彼女がいたのは想像がつくし、仕方ないと思う。
「俺、こういうのが原因で振られるんですよ」
「え、カイ君でも振られるの?」
カッコよくて優しいこの人を、振る女がこの世にいるのか。
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