突然の遠距離恋愛宣言に涙する私に彼は…切なくも甘い約束【前】 (ページ 5)

「・・・アハハ」

「美緒?」

急に乾いた笑い声に拓也は訝しげに美緒を見た。

美緒は、やや低めの静かなトーンで話し始めた。

「・・・遠いな、アメリカなんて。国境越えなきゃじゃん。飛行機乗らないと行けないし…私からは会いに行けない距離だよ。」

―でもさ、と美緒の声は明るくなった。

「これって、凄いことだよ!留学なんて今じゃないと出来ないしさ。行動力がないとできないよ、こんなこと。それに勉強だけじゃなくて、人間的なものっていうか…拓也自身も成長できる機会だと思うし…それにっ、料理だって美味しいと思うし、美人な人も沢山いると思うしっ、・・・っけ、景色だって…とーきょー・・・っより・・・も・・・っ」

寒くもないのに、小刻みに体が震えてきた。

テーブルに作った拳も震え、カタカタと白いカップが音を立てる。

「ぁ…あれ?おかしっ・・・―」

―視界がぼやけて、呂律が上手く回らない。

「―美緒」

名前を呼ばれたと思った途端にフワッと震える小さな拳が大きな温もりに包まれた。

「泣かないで、美緒」

優しくて、温かい・・・けれど、どこか不安を含んだ拓也の声。

その声にポロポロと我慢していたものが溢れだした。

「・・・くっ・・・ぅう…」

「泣き虫」

美緒の目尻に次々と溜まる涙を、苦笑しながら拓也は指先で拭う。

しかし、それだけでは追いつかず

どんどん涙は頬を滑って落ちていく。

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