いつものように抱かれるつもりでいた私に、いつもとちがうえっちなお願いをしてきた彼

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いつものように抱かれるつもりでいた私に、いつもとちがうえっちなお願いをしてきた彼 (ページ 1)

――衣織の、舐めたい。

突然、改まったように晃汰にそう言われて、私はあっけに取られてしまった。

明日はお互いに仕事が休みで、なんとなく、その、するのかなあと思っていた。だからいつもより念入りに身体も洗ってケアだってしたし、身体を繋げる準備はばっちりできていたのだ。それが晃汰にバレてしまうのは恥ずかしくて、なんでもないふりをしていたけれど。

そろそろ寝ようか、なんて二人で寝室に向かい、ベッドに乗り上げたところで――そう、晃汰があんなことを言った。

「聞こえなかった? 衣織の――」

「わーっ待って待って、聞こえてる、聞こえてます……!」

私が黙りこくったままだったから、どうやら晃汰は聞こえなかったのだと思ったらしい。ベッドの上であぐらをかいた晃汰はこてんと小首をかしげている。

なんで私のほうがこんなに慌てなくちゃいけないんだろう。

ずいぶんくつろいだ様子の晃汰に対して、私は正座をしたまま縮こまっていた。ものすごく居たたまれない。

舐めたいっていうのはその、む、胸のことじゃない…よね。胸ならいつも指だけじゃなく舌でも触れられてるし。

ということは、晃汰の舐めたいというのは、つまり…。

私はゆっくり顔を下げて自分の下腹部になんとなく視線を遣ってしまう。一気に頬が熱を持ち、顔が赤くなるのを感じた。

「衣織」

「な、なに…?」

「…だめ?」

ダメ押しのように晃汰が言う。

私は心の中で白旗を振った。降参です。

昔から私は晃汰のお願いに弱い。

*****

「んっ、んぅ…や、ぁ」

あれから、結局晃汰に押し切られるかたちでお願いを聞いてしまった。

仰向けになってベッドに寝そべるのはいつもと変わらないけれど、腰にふかふかのクッションをあてがわれているのはいつもとちがう。つまり、その、晃汰が舐めやすい体勢にされてしまっているわけだ。

それがもうどうにも恥ずかしくてたまらない。

寝室に響くぴちゃぴちゃという濡れた水音と晃汰の荒い息づかいが耳に届くたび、くらくらした。

「あっ、ぁ…ん、」

「ん…衣織、気持ちいい?」

私はこくこくとうなずくことしかできない。いっぱいいっぱいでとてもじゃないけれど答えられない。

そんな様子を見て、晃汰がふ、と吐息だけで笑うのがわかった。

「気持ちいいなら声我慢しなくていいのに」

「やだ…はずかしい、から」

「ふーん…」

両手で口もとを覆ってふるふると首を横に振る。

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